【有馬記念】生産者&調教師が語る、牝馬が男勝りの理由

[ 2020年12月23日 05:30 ]

国枝師(左)、藤沢和師(中央)、吉田俊介ノーザンファーム副代表(右)
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 今年G1・3勝の4歳牝馬グランアレグリアを管理する藤沢和師やG1・9勝の名牝アーモンドアイを育てた国枝師、吉田俊介ノーザンファーム副代表の見解を織り交ぜながら、なぜ牝馬が強いのか?を掘り下げる。

 【グランアレグリア・藤沢和師】牡馬と牝馬の体力差がなくなってきたのに、牝馬には2キロのアローワンス(減量)がある。牝馬が圧倒的に有利になるのも当然でしょう。カイバを食べなくても走るのが牝馬。カイバを食べても走らないのが牡馬。人間に似ているかもしれない。たいがいの男はあきらめが早いし、意気地がない。反対に女性には頑張り屋が多い。

 頑張り屋さんだから(牝馬の調教には)なおさら気をつけないといけない。3歳のクラシックが終わる時期になるとカイバを食べるようになる。繁殖という次の仕事のために自分で体をつくり始めるのです。その時、頑張っている牝馬にもっと頑張れ!もっと走れ!と(調教で)いじめると、ろくなことにはならない。

 最近、牝馬の強さが目立っているのは混合G1に出走するようになったからでしょう。強い牝馬が牝馬限定戦の枠を超え、2キロのアローワンスをもらって牡馬と一緒に走れば…。意気地なしの男たちはかなわない。(談)

 【アーモンドアイ・国枝師】ダートだと話は違うけど、近年の速く走ることが要求される芝においては、反応がいい牝馬の方がいいのかも。世界的にも牝馬が強いからね。馬体のサイズに関しても牝馬の方が芝向きなのかな。車でもなるべく軽い車体にいいエンジンを積めば当然、速く走れる。牝馬の軽やかな馬体に、いいエンジンが備わっていれば速い。牝馬の活躍は理にかなっていると思う。

 半面、牝馬はメンタル面が課題になりうる。へそを曲げたらいけない。「きれいだね」、「かわいいね」とか言って、おだてないと。分かりやすく言えば人間と一緒だよ。あとカイバをしっかり食べてくれるか、とか細心の注意が必要です。 (談)

 【吉田俊介ノーザンファーム副代表】牝馬の強さを生産者サイドはどう見ているのか。ノーザンファームの吉田俊介副代表は牡牝の根本的な違いとして「まず牡馬と牝馬では放牧すると運動量に差が出る。牡馬の方が動きます。調教を始める段階になると、牝馬の方が気を使うポイントが多い。以前は牝馬を出走させることすら難しい時代もあった」と説明する。その後、試行錯誤を重ね育成技術が進歩。「世界中のホースマンが、牝馬を動かし、体力をつけ、能力を引き出すノウハウを蓄積していった結果が今に至っている」とした。一方で「牡馬並みの能力があれば、レースでの2キロの重量差は大きい。牡馬より牝馬の方が強くなった、というのは少し違うのではないか」と分析した。

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2020年12月23日のニュース