【朝日杯FS】鍵握るのは“お天道様” 良ならレッドベルオーブ、重ならステラヴェローチェ

[ 2020年12月15日 05:30 ]

レッドベルオーブ(左)とステラヴェローチェ
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 先週の阪神JFでは白毛ソダシが4戦無敗で2歳女王の座についた。一方の牡馬は今週の「朝日杯FS」と次週の「ホープフルS」でカテゴリー別の王者が2頭誕生する。2歳G1としては“老舗”の今週は、今年の2歳芝マイル重賞の優勝馬3頭が集結の豪華メンバー。「G1データMAX」が導き出したのは、そのうちの2頭。鍵を握るのは“お天道様”だ。

 (1)前走1着 単純明快だが、実は朝日杯FSにおける最重要ファクター。過去10年の優勝馬は全て、前走でも白星を挙げていた。「勝ち馬探し」がコンセプトの当コーナーでは無視できない。しかも馬券に絡んだ3着以内30頭まで対象を広げても、前走1着馬が23頭と約8割を占める。前走敗戦から巻き返して馬券対象となったのはわずか7頭で、いずれも2着止まり。前走敗戦馬をバッサリ切ると、登録18頭のうち半数近い8頭がここで脱落する。

 (2)前走距離 この項目も傾向は明白。圧倒的に前走でマイル戦に出走していた馬が強い。優勝馬は10頭中8頭、3着以内30頭でも過半数の17頭が該当する。短くても長くても不利。マイルからマイルが基本だ。芝2000メートルの新馬Vから1戦1勝で臨んだ15年Vリオンディーズは例外。10年にはグランプリボスが芝1400メートルの京王杯2歳Sから連勝したが、デビュー勝ちは札幌芝1500メートルだった。今年の京王杯を制したモントライゼは1400メートルまでしか経験がなく割引が必要だ。

 中でも特筆なのが東京マイルからの臨戦。中山から阪神に開催場が移った14年以降はこの傾向が顕著。前走で東京芝1600メートルを勝って挑んだ馬は【4・0・2・0】。近年では17年ダノンプレミアム、19年サリオスがサウジアラビアRCから連勝を飾っている。左右の回りの違いはあるが、東京と阪神外回りは「坂のある長い直線」が共通項。双方で連勝したステラヴェローチェが大きなアドバンテージを持っているのは間違いない。

 一方、京都マイルからの臨戦は全てデイリー杯2歳S組で【1・2・1・12】。同じ右回りでも坂の有無で求められる資質が違うのか、成績は芳しくない。昨年までなら軽視できたのだが、今年はそうはいかない。京都改修工事のためデイリー杯は阪神開催。本番と同じ舞台でレッドベルオーブがレコードV。これはスルーできない…。

 (3)間隔&経験値 レース間隔も傾向ははっきりしている。3着以内30頭の全てが中9週以内での臨戦。それ以上間隔が空いていた馬は馬券に絡んでいない。中9週は現行のカレンダーでは秋の東京開幕週、サウジアラビアRCが“デッドライン”。新潟2歳S制覇以来となるショックアクション、2戦2勝ながら9月中山アスター賞以来となるドゥラモンドは黄信号だ。

 実は前項(2)に関連するのだが、前走阪神組が不振の理由はここにある。従来の日程では「中9週以内」の条件を満たす適当な開催の設定がなかった。阪神から臨戦するには実績のない9月以前の開催から、もしくは同開催から中1週、連闘しかない。だが、今年は従来の京都を阪神で代替開催。これまでの傾向とは切り離して考察する必要がある。そして坂克服の実績が必要。15年Vリオンディーズを除けば、残る優勝馬9頭は直線に坂のある4場(東京、中山、阪神、中京)のいずれかで白星を挙げていた。中京→阪神とレコードで連勝したレッドベルオーブを軽視する要素はどこにもない。

 結論 全項目を難なくクリアするのはステラヴェローチェ。ただ、快勝の前走は不良馬場。デビュー戦もやや重で良馬場の経験がない。もちろん、良ならもっと切れると信じて買う手もありだが、阪神開催となって以降、前走が不良だった馬の馬券絡みは皆無というデータもある。総じて道悪が得意なバゴ産駒というのも引っかかる。

 一方、今年特有のローテから参戦するレッドベルオーブは同舞台の前走Vが秀逸。勝ちタイム1分32秒4は、ミッキーアイルが持つ芝マイルの2歳日本レコードにコンマ1秒差。マイル戦を1分33秒0以下の時計で制した馬は、G1での活躍が“約束”されている。

 良ならベルオーブ、雨が降ればヴェローチェ。あとは天気予報とにらめっこするしかない。ちなみにヴェローチェの前走1分39秒6は、86年以降の2歳芝マイル重賞で最も遅い勝ちタイム。最速と“最遅”。対極にいる2頭の激突は、非常に興味深い。 

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2020年12月15日のニュース