【朝日杯FS】ショックアクション95点 レースでテンションUP!目をギラギラ“肉食系”に

[ 2020年12月15日 05:30 ]

瞳の奥に狼のような鋭利な光を宿しているショックアクション
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 2歳王者にふさわしい闘争心が瞳の奥に隠されていた。鈴木康弘元調教師(76)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第72回朝日杯FS(20日、阪神)では新潟2歳S優勝馬ショックアクションを1位指名した。阪神JF3連単1万7260円を◎○△でずばり的中した達眼が捉えたのは激しい闘争心を宿す瞳だ。

 羊みたいに耳を横に向けながらおっとりした顔立ち。ショックアクションは一見、「草食系男子」と呼びたくなる優しい表情をしています。でも、拡大した馬体写真にルーペを当ててみると…。

 瞳の奥に狼のような鋭利な光を宿しています。G1有力候補の馬体診断を長らく続けてきましたが、こんな不思議な目に触れたのは初めて。羊の皮をかぶった狼の目とでも言うべきか。普段はボーッとのんびり草をはむ草食系男子でも、レースになるとテンションを高めて、目をギラつかせる肉食系男子にひょう変する(馬は肉を食べませんが…)。目が心を映す鏡なら、この馬の目の奥に映し出されたのは火の出るような闘争心です。

 昨年のウーマンズハートに続きゴドルフィンの青い勝負服が席巻した新潟2歳S。強じんな末脚もさることながら、レース運びが非凡でした。道中は全く掛からない。直線で抜け出してからは物見もせず、ハミをかみしめながら同じ青い勝負服のブルーシンフォニーを1馬身3/4突き放しました。2歳馬離れした走り。瞳の奥に宿す闘争心を燃やしての完勝劇でした。

 普段はのんびりカイバを食べているから体にボリュームがあります。特に首差しと肩、トモの張りは出色。鍛え抜かれた厚い筋肉の鎧(よろい)をまとったようなたくましさです。トモのパワーを余さず推進力に変えているのが絶妙な角度でトモと連結した飛節。膝下が短く見えるのは上体が盛り上がっているからです。2歳馬だけにキ甲(首と背の間の膨らみ)はまだ抜けていません。トモがキ甲より高い位置にある未完の馬格。3歳になってキ甲が発達すれば、もっと迫力のある馬体に進化するでしょう。

 ショックアクションとは英語で「急襲」。大辞泉をひくと「敵のすきを狙って急に襲いかかること」と記されています。羊の姿を見て油断した敵に襲いかかる。瞳の奥に狼のような闘争心をたたえた2歳馬の急襲に要注意です。(NHK解説者)

 ≪戸崎&大久保厩舎の強力タッグ≫ショックアクションは、チャンピオンズCをチュウワウィザードで制した戸崎&大久保厩舎の強力タッグで挑む。前走に続いてコンビを組む鞍上は1週前に栗東に駆けつけ、追い切りに騎乗。3カ月半ぶりとなるが「久々でも軽い動き。しっかり反応してくれましたよ。元々、完成度は高いし、力も付けている」と成長を感じ取っていた。

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の76歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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2020年12月15日のニュース