【小倉2歳S】アールラプチャー英雄のDNA!市川厩務員「おじいちゃん見え隠れしている」

[ 2020年9月4日 05:30 ]

「スイッチのオンオフはいい意味ではっきりしてます」と話す市川厩務員とアールラプチャー
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 7冠馬ディープインパクトを育てた腕利きの市川明彦厩務員(60)が手塩にかけるアールラプチャー(牝=千田)は、小倉2歳Sで重賞初制覇を狙う。

 市川厩務員はディープインパクトの担当として有名になった。「あの頃はファンのためにも取材を受けて、もっと競馬熱を上げたいと思っていました。こういうご時世だからこそ、改めて馬券を買ってくれるファンのありがたさを強く感じます」。無観客競馬でも応援してくれる人を思う気持ちに、変わりはない。

 アールラプチャーの父は新種牡馬ミッキーアイル。その父はディープインパクト。孫との出合い。その喜びをストレートに表してくれた。「ディープの子供を担当したことがないので、孫であってもやれるのがうれしい。シルエットも後駆の雰囲気もいいし、そのあたりはおじいちゃんが見え隠れしているのかな」と小さく笑った。

 入厩当初430キロ台だった体は、攻めを積むにつれて成長を遂げた。新馬戦は458キロ。大外枠から絶好のスタートを切った。2番手から押し切り、ラストは流す余裕もあった。ミッキーアイル産駒はこれでJRA4勝目で、プチブレークの感もある。連闘で小倉2歳Sへ挑むアールラプチャー。木曜日は台風9号の影響で強風が吹き荒れる中、角馬場で調整を行った。

 「ジョッキーも“ゲートが開くと凄く速かった”と言ってました、先手を取って、スムーズに馬場のいい外を回れた。ゴール前で抑えて1分8秒8、(前走の)勝ちタイムも悪くないですね」

 池江泰郎厩舎時代には数々のG1馬を手掛けた。それでも牝馬クラシックとは縁が薄かったと言う。「男馬では結構ダービーに行かせてもらったけど、牝馬ではトゥザヴィクトリーくらいかな。この子もいいモノは持っているし、ゆくゆくは成長して大きいところへ行けたら」と前を向く。“孫”を思うまなざしは、どこまでも温かかった。幾多の名馬を手がけた腕利きが、小倉ラストサマーを盛り上げる。 

 ◆市川 明彦(いちかわ・あきひこ)1959年(昭34)9月24日生まれ、京都府出身の60歳。農協職員を経て、85年池江泰郎厩舎の厩務員に。ディープインパクトをはじめ、ブラックタイド、サイレントディール、トゥザグローリー、フォゲッタブルなど数々の名馬を手がけた。現在は千田厩舎に所属し「いい馬をやらせてもらっています」。ムーンチャイム(5歳3勝クラス)も担当している。

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2020年9月4日のニュース