【桜花賞】レシステンシア100点!動から静へ立ち姿が一変

[ 2020年4月7日 05:30 ]

立ち姿が一変したレシステンシア(撮影・亀井 直樹)
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 無観客のクラシックに満開を告げるのは八重の桜だ。鈴木康弘元調教師(75)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第80回桜花賞(12日、阪神)では昨年の2歳女王レシステンシアに唯一の満点を付けた。達眼が捉えたのはNHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公、新島八重のような男勝りの体躯(たいく)と穏やかなたたずまい。大河ドラマ第1作(63年の「花の生涯」)が放送開始になったのが57年前の4月7日だった。そこで桜花賞有力候補を大河のヒロインになぞらえて解説する。

 緊急事態宣言を前に花見どころではない桜花賞ウイーク。
 春を彩る桜がちょっと目を離した隙にたたずまいを変えるように、競走馬も短期間に立ち姿を一変させることがあります。それにしても、わずか4カ月でここまで変化するとは…。スペイン語で「抵抗する女」(レシステンシア)と名付けられた3歳牝馬。その姿に触れた途端、思わず息をのみました。2歳の暮れとは別馬のように穏やかにたたずんでいます。

 昨年の阪神JF時にはこんな指摘をしました。「ダイワメジャー譲りの気性が勝った顔立ち。鋭い目つき、きつく立てた耳。激しく攻め立てようとする猛牛のように気負い込んでいます」。レースでも駆け引きなしで猛牛のようにテンから突進するとみていました。ところが、今回は目と耳を静かにカメラマンへ向けながらゆったりと立っています。4カ月で気性が急成長したのか。それとも、別の理由があるのか。ともあれ、心境の大きな変化をうかがわせる立ち姿です。

 動から静へ。その変貌は、NKH大河ドラマ「八重の桜」(13年放送)で綾瀬はるかが演じたヒロイン、新島八重を想起させます。戊辰戦争で明治新政府軍に最後まで抵抗した会津藩の砲術指南として鶴ケ城に男装で立てこもり、銃砲隊を指揮した幕末のレシステンシア(抵抗する女)。ところが、残されている晩年の写真を見ると、かつての抵抗する女のイメージとはほど遠い穏やかで物静かな容貌です。

 抵抗する女馬も気性を一変させましたが、男勝りの体つきは変わってない。野太い首、分厚い肩とトモ、立派なキ甲、大きな腹袋、太い尾…。血は争えないと言いますが、筋肉マッチョな父ダイワメジャーの特徴をそのまま受け継いでいます。特に発達した臀部(でんぶ)は、この親にしてこの子あり。15年阪神JF、16年のNHKマイルCを押し切った同産駒メジャーエンブレムにも匹敵する豊富な筋肉量です。

 新島八重も「女関取」とささやかれるほど恵まれた体格でした。13歳の時には4斗(60キロ)の米俵を4回も持ち上げることができた、と自ら語ったほどの怪力マッチョ。鶴ケ城の籠城戦では銃弾入りの重たい箱を担いで隊員に配り歩いたとも言われています。競走馬の八重は筋肉で発達した上半身に比べて下半身がいささか頼りない。飛節や膝下が小づくりで、管囲も細い。それでも、四肢の腱はしっかり浮いています。脚元の心配もありません。

 敗北は成長の糧といいます。その伝に従うなら、戊辰戦争ならぬチューリップ賞の敗戦がレシステンシアの気性を成長させたのでしょう。桜がたたずまいを変えるように、競走馬も立ち姿を一変させます。その満開を迎えた桜の名は八重の桜。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の75歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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