【有馬記念】(15)アエロリット 有終の逃走

[ 2019年12月22日 05:30 ]

 アエロリットは走りたい気持ちを抑えるようにゆったりとしたキャンターでダートコースを周回した。愛馬の“最終調整”を見届けた菊沢師は感慨深げ。「追い切り後のダメージもなく順調です。最後なのが惜しいぐらい絶好調」。有終Vであっと言わせる準備は整っている。

 厩舎初のG1馬。指揮官は「この馬には本当に鍛えられました。僕のふがいなさで勝てなかったG1もあったと思います」と振り返る。調教をつけている郷原助手の思い出は1番人気で7着に敗退した17年秋華賞。「あの時は、厩舎の人間の気合が入りすぎて空回りしてしまったんです。横山典さんに“皆、冷静になれ”と言われたことを思い出します。だから、今は気合はほどほどに、楽しんで調教に乗っています。この馬には凄く勉強させてもらいました」。厩舎の看板ホースは皆の師匠でもあった。

 最後の手綱は有馬初騎乗の津村に託された。「僕が騎手を目指したきっかけがナリタブライアンが勝った94年の有馬記念。思い入れがあるレースなので楽しみ。しかも、まさかアエロリットの引退レースに乗れるなんて」。外枠だろうが、作戦は決まっている。きっぷのいい逃げで最強のライバル達に堂々とぶつかるだけだ。人馬ともに今年はG1で惜敗続き。「彼女にとって最後なので思い切った競馬をする。僕も鬱憤(うっぷん)を晴らしたい。勝ちたい」と意気込む。いつも観衆の心を動かしてきた快速牝馬の最後の逃走劇。フィナーレはハッピーエンドかもしれない。

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2019年12月22日のニュース