菜七子 100勝達成!日本女性騎手史上初、初騎乗から2043戦目「凄く遠い話だと思っていた」

[ 2019年12月16日 05:30 ]

<中京6R>通算100勝を達成した藤田菜七子(撮影・平嶋 理子)
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 JRAの藤田菜七子(22)が15日、通算100勝(JRA90勝+地方交流競走10勝)を達成した。日本の女性騎手としては史上初めて。通算99勝で迎えた中京6Rを4番人気シーシーサザン(牝2=武井)で制し、デビュー4年目、初騎乗から2043戦目でのメモリアル勝利となった。同騎手は101勝目を挙げれば、見習い騎手から卒業となり、減量恩恵が▲(3キロ減)から◇(2キロ減)となる。 レース結果

 「祝・通算100勝」のプラカードを背に、笑顔をのぞかせた菜七子。JRAでは通常、JRA100勝達成の場合のみにプラカードを用意するが、注目度の高さから超異例の計らいとなった。

 「デビューした頃は100勝は凄く遠い話だと思っていましたが、こうして100勝できて本当にうれしい」

 中京6Rのシーシーサザン。道中8番手で進めると、最後の直線で外に持ち出す。温存していた末脚を爆発させると突き抜けた。「ゲート練習をした成果もあって、今日は五分に出られた。最後もいい脚を使ってくれました」。デビューから4戦連続でコンビを組んだ相棒とつかんだメモリアルVに思わず頬が緩む。日本人女性史上初のJRA重賞制覇からわずか1週間。今度は通算100勝達成で、再びファンを熱狂させた。

 デビュー4年目での大台到達。順風満帆に思えるが、歩んできた道は決して平たんではなかった。夢を追いかけ、15歳で競馬学校入学。挫折はすぐに訪れた。同期とともに行うトレーニング。男女の筋力の違いを痛感した。「他の人が乗れる馬に乗れない。悔しい思いをしました」。木馬を使って居残り練習もしたが、男子が難なく乗りこなす馬をなかなか御せない。夢を諦めかけたこともあったが、踏みとどまれたのは心の底から馬が好きだったから。

 1年目こそ同期6人で最少の7勝に終わったが、2年目以降、着実に勝ち星は増えた。パーソナルトレーナーをつけ、体幹を中心に徹底的に鍛えた。オフにノースリーブを着用すると、「私の上腕は男みたいでしょ?」。その表情はどこか誇らしげだった。

 JRA唯一の現役女性騎手として、蹄跡なき道を歩み続ける菜七子。常に目標が「次の1勝」であることに変わりはないが、「まずは(あと10勝となった)JRA通算100勝を達成しなければならないと思いますし、一鞍一鞍大事に乗っていきたい」。

 そして、最後にこう力強く言い切った。

 「どんな馬でも“藤田菜七子に乗せたい”と思ってもらえるジョッキーになりたい」

 100勝はほんの通過点にすぎない。

 ≪海外など合算で116勝≫通算勝利にカウントされるJRA+地方交流競走で100勝に達した菜七子だが、JRA所属馬以外での地方エキストラ騎乗が14勝、スウェーデンで2勝を挙げており、全てを合算すると116勝している。

 ◆藤田 菜七子(ふじた・ななこ)1997年(平9)8月9日生まれ、茨城県出身の22歳。根本康広厩舎所属。16年3月3日にデビュー。通算2048戦100勝(15日現在)。趣味は読書、音楽鑑賞。特技は睡眠。目標の騎手はリサ・オールプレス。座右の銘は日進月歩。1メートル57、46キロ。血液型A。空手初段、剣道2段。18年に「第3回黒髪美人大賞」受賞。

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