【ジャパンC】レイデオロ95点!完成形だ風林火山“信玄の風格”

[ 2019年11月19日 05:30 ]

鈴木康弘「達眼」馬体診断

<ジャパンC>馬体はいよいよ完成の域、達眼・鈴木氏もレイデオロの風格を武田信玄にたとえた(撮影・西川祐介)
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 戦国JCを制すのは風林火山の名将か、下克上の猛将か――。鈴木康弘元調教師(75)がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。大混戦ムードの「第39回ジャパンC」(24日、東京)ではレイデオロとルックトゥワイスを1位指名した。達眼が捉えたのは武田信玄の旗印を背負ったようなダービー馬の立ち姿と、G1初挑戦でも織田信長ばりの気性の激しさをのぞかせる面構え。戦国JCに挑む有力馬のボディーを戦国武将になぞらえながら解説する。 ジャパンC

 スペイン語で「黄金の王」(レイデオロ)と名付けられた鹿毛の強じんな肉体。その進化の過程を向こうずね(若馬に見られる管骨の炎症の跡)が残っていた3歳春から論評してきましたが、ついに完成形に達しました。成長のバロメーターともいえるキ甲(首と背の間の膨らみ)は山の頂のようにそびえ立っています。東京競馬場の1コーナー先にかすむ富士八峰になぞらえてダービー時は最も低い駒ケ岳、3歳秋は5番目に高い朝日岳、4歳秋には2番目の白山岳に到達したと書きました。そして迎えた5歳の晩秋。馬の背と呼ばれる急斜面の頂上にそびえる日本最高峰、剣ケ峰に届きました。

 キ甲に合わせて首差しも完全に抜けている。肩とトモは鍛え抜かれた筋肉で、はち切れそうなほど膨らんでいます。円熟から完熟へ。進化の終着点を示す体つきです。

 馬体の完成とともに、その立ち姿には馬名にふさわしい王の風格が漂っている。頭を起こし、大地に根を張るように四肢を踏みしめた不動の姿勢。穏やかな目を正面に向け、ハミをゆったりと受けながら、太い尾だけが前進気勢を示すように上がっています。威風堂々たるたたずまい。疾(はや)きこと風のごとく、徐(しず)かなること林のごとし、侵略すること火のごとく、動かざること山のごとし。風林火山の旗印を背負ったような立ち姿です。

 今年は有力馬が群雄割拠する“戦国JC”。そこで出走馬を戦国武将になぞらえてみると…。レイデオロは「風林火山」の大将旗の下、戦国最強の騎馬軍団を率いた武田信玄。「将来を第一に考えて、気長に対処することが肝要である」。信玄公の名言通り、将来を見据えて急がず仕上げられてきました。ダービー優勝後も先細りせず、翌年には天皇賞・秋を制した。そして、今戦国JCは集大成の大一番。晩年に「風林火山」の軍旗を信玄公自ら筆書きして陣頭に掲げたと伝えられる三方ケ原の戦いのように。

 今春の宝塚記念時に指摘した気負いはどこへ飛んでいったのか。別馬のような落ち着きです。当時の立ち馬写真に納まっていたのは替え玉の影武者だった。そんなジョークも笑えないほど静穏な立ち姿。徐かなること林のごとしです。宝塚記念ではクリッピングと呼ばれる毛刈りをして臨みましたが、今度は自然体。毛の生えそろったヒ腹には新陳代謝の良さを示す銭形の斑点がうっすら浮かんでいます。私が記憶する限り、G1ではこの斑点を見せたのは初めて。尾にも表れた前進気勢、前向きからベストの舞台は2000メートルだと思いますが、体調曲線は成長曲線と共に剣ケ峰に到達しました。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の75歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。今春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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