【アルゼンチン共和国杯】トレイルに勝利のバトン 好相性ハーツ産駒リスに続け

[ 2019年10月30日 05:30 ]

タイセイトレイル
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 追い風がオーストラリアからアルゼンチンへと吹き始めた。ハンデ重賞「第57回アルゼンチン共和国杯」(11月3日、東京)はタイセイトレイルに注目。管理する矢作芳人厩舎は26日の豪G1コックスプレートをリスグラシューが快勝。同じハーツクライ産駒の後輩に向けて最高の流れをつくり、勝利のバトンを渡した。重賞初挑戦初制覇で期待に応えたい。19日のコーフィールドCを勝ったメールドグラースの清水久詞厩舎からはパリンジェネシスがスタンバイ。こちらも勝利の流れに乗りたい。

 「先生、おめでとう!」。報道陣が歓喜の輪をつくる。その中心で矢作師が最高の笑みを浮かべた。「ありがとう!」。何度も笑顔で応えた。リスグラシューがオーストラリアG1・コックスプレートを圧勝。世界にその名をとどろかせた。「この後は基本的に有馬記念(12月22日、中山)に向かう予定。できればアーモンドアイとやりたかったね」。今の日本競馬をけん引する名牝2頭の直接対決がかないそうもないことを残念がった。

 豪州で得た勢いを日本の競馬にもつなげたい。アルゼンチン共和国杯にはタイセイトレイルが参戦する。リスグラシューと同じハーツクライ産駒。急成長を遂げる4歳馬だ。3走前に3勝クラスを卒業すると札幌日経オープン、丹頂Sを3着にまとめ、オープンでも通用する力を示した。今年は9戦して【3・2・4・0】と全て3着以内。師は「前走後も順調」と出来には自信を見せた。ただ、ハンデには不満顔。「重賞実績もないのに55キロか…。少し見込まれた感じがするね」と本音が漏れた。

 ただ、データの強い後押しは見逃せない。ハーツクライ産駒は近5年で3勝(14年フェイムゲーム、16年シュヴァルグラン、17年スワーヴリチャード)。4歳馬は過去10年で【6・4・3・23】と他の世代を圧倒する。「崩れずにしっかり走ってくれる。東京では(緑風Sで2着と)いい競馬をしているし、そこに期待したい」(同師)

 通算20戦目にして重賞は初挑戦。豪州からアルゼンチンへと矢作厩舎による勝利のバトンが渡った。リスグラシューがつくった最高の流れを味方にタイトルを一気につかみにいく。

 ▼コックスプレートVTR 序盤は中団より後ろにつけたリスグラシュー。外から位置を上げ、4角では前を射程圏に入れた。直線はわずか173メートルだったが、あっさりと前を捉えて完勝。同レースでの日本調教馬初制覇を決めた。ダミアン・レーン自身も2週連続のG1制覇。日本では1番人気に推され、宝塚記念とのダブル制覇ボーナスも含め、計500万豪ドル(約3億7500万円)を獲得した。

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2019年10月30日のニュース