【盛岡・OROターフスプリント】山林堂「感覚湧かない」 23年目の重賞初V

[ 2019年10月25日 05:30 ]

岩手重賞のOROターフスプリントを制した山林堂(※岩手県競馬組合提供)
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 【地方からの風】チャンスはどこに転がっているか分からない――。この仕事30年超えの記者も何回かそんな経験をしているが、山林堂信彦(41=川崎)も同じ気持ちだったに違いない。

 「うれしいに決まっているんだけど、まだその感覚が湧かない」

 20日に盛岡で行われた「第9回OROターフスプリント」を6番人気のエイシンテキサスで逃げ切り優勝、97年のデビューから23年目、通算3607回目の騎乗で重賞初制覇を成し遂げた。

 同馬は名古屋の坂口義厩舎所属、そして芝のレースと異例ずくめ。当日は所属する川崎が初日の開催。通常ならそこで騎乗しているはずが…。「佐藤博師を通じて盛岡で重賞に乗らないか、と。主戦がケガをしたとは聞いたが。ブースター(佐藤博厩舎所属馬で現在主戦)が元々いた厩舎だからかな」と山林堂自身いまだに騎乗依頼の理由に首をひねるが「せっかく頼まれたのだから」と決断したことが奏功した形だ。

 馬の特徴はVTRで研究したが、加えて今春(5月12日、南関東Jフレンドリーマッチ)に、この芝コースを経験していたのが大きかった。「実際より直線が短く感じると体感していたから、馬のギアを上げるのを早くした。それで最後まで粘れた」と勝因を挙げた。地元・川崎に戻り「おめでとう」と次々かかる声にはにかむベテラン。その喜びはじんわり染み込んでいくはずだ。(矢内 浩美)

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2019年10月25日のニュース