【スプリンターズS】スーパーフレア95点!“魔法の変わり身”黄金のサラブレッドへ

[ 2019年9月24日 05:30 ]

<スプリンターズS>栗色に美しく輝くモズスーパーフレア(撮影・亀井 直樹)
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 秋のG1開幕戦に波乱を起こすのは“モズの魔法使い”だ。鈴木康弘元調教師(75)がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。スプリンターズS(29日、中山)ではタワーオブロンドンと共に伏兵モズスーパーフレアをトップ採点した。達眼が捉えたのは、色あせた栗毛の縫いぐるみを黄金色のサラブレッドに変身させたモズの魔法だ。 スプリンターズS

 米国カンザス州の農場で暮らす少女ドロシーが竜巻に襲われ、愛犬トトと共に不思議な「オズの国」に飛ばされてしまう。カンザスに帰りたい少女はオズの魔法使いに「ウィンキーの国を独裁する西の悪い魔女を倒したら願いをかなえてやろう」とささやかれ、ウィンキーの国へ向かいます。だが、そこには黄金の冠を使って住民をブリキや縫いぐるみに変えてしまう恐ろしい魔女が待ち構えていて…。世界中で翻訳されている児童文学の名作「オズの魔法使い」。モズスーパーフレアの馬体に触れて、その名作を思い出しました。

 半年でここまで変わるのか。3月の高松宮記念時とは別馬のような姿に少々驚いています。今春は全身に冬毛をかぶり、まるで馬の縫いぐるみでした。出産という大仕事が待っている牝馬は体を冷やさないように冬毛を長く伸ばす傾向がある。それにしても長すぎた。顎の下から飛節の上まですっぽりと覆われてしまい、柔らかいのか硬いのか(動きは硬かった)、馬体を診断するのも難しかったほどです。「モズの国」の魔女が持つ黄金の冠で縫いぐるみにされちゃった。そんなギャグも笑えないほど冬毛でくすんだ姿でした。

 ところが、初秋のモズは悪い魔法が解けたように毛が抜け替わり、栗色に美しく輝いています。毛が短いので筋肉の形状を細かく観察できます。トモの筋肉が明らかにボリュームアップした。特に冬毛に隠れていた臀筋(でんきん=臀部の筋肉)が浮き出ています。腹周りも縫いぐるみ時代よりふっくらとしている。前走・北九州記念時は馬体重26キロ増。ひと夏越してボリュームが増したことは数字にも表れています。

 表情も穏やかにったた。高松宮記念時は悪い魔法にかけられたように口を半開きにして不機嫌そうでしたが、今回はハミをきちんとくわえている。一点だけ注文を付ければ、目つきがおとなし過ぎる。音無調教師が懸命に立て直しても、まだ魔法が100%解けていないのか。ただ、耳はしっかり立てているので懸念には及ばないでしょう。

 米国カンザス州の東に位置する馬産のメッカ、ケンタッキー州からやってきたモズの魔法使い。初秋を迎えて劇的に変化しました。優しくなった日差しを浴びて、その栗毛は黄金色にも映ります。魔女が持つ黄金の冠で新たな魔法をかけられているとすれば、栄冠に導く魔法かも…。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の75歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。今春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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