【種牡馬馬体診断】ディープ後継キズナ 特長引き出す度量 距離に万能性あり

[ 2019年9月18日 05:30 ]

鈴木康弘「達眼」特別編

穏やかな目で下顎をのんびり出して立つキズナ
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 瓜(うり)のつるに茄子(なすび)はならぬ(子は親に似る)といいますが、70年代に社台ファームが導入した種牡馬ハンターコムは自身とそっくりのトモ(後肢)を持った子供を輩出しました。繁殖相手がどの馬だろうとお構いなし。父親のコピーばかりが生まれてくる。産駒をひと目見ればハンターコムの子だと分かったものです。こういう自己主張の強過ぎる種牡馬は成功しません。繁殖相手によっては自身と似ても似つかぬ産駒を出す、瓜のつるに茄子をならせるような種牡馬が大成するのです。

 たとえばキズナ。自身は競走馬時代のレースぶりも血統、体形も中長距離仕様。ステイヤータイプの産駒が多くなるとみていますが、産駒の重賞初制覇は1200メートルの函館2歳Sを優勝したビアンフェでした。この父親は自己主張し過ぎず、繁殖相手(サクラバクシンオー産駒の短距離馬ルシュクル)の特長を受け入れる度量を持っている。立ち姿を見てください。穏やかな目で、下顎をのんびり出している。おおらかな気性を伝えています。

 耳を絞って気負い込む他のディープインパクト2世種牡馬とは一線を画した物腰。SS系の繁殖牝馬とは交配できませんが、ディープインパクトの後継に最もふさわしい。キズナは瓜のつるにも茄子をならせる種牡馬です。

 ▼父ディープインパクト 母キャットクイル(母の父ストームキャット)9歳 19年種付け料350万円、種付け頭数164頭

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