JRA禁止薬物混入問題、除外馬156頭に総額5億円補償

[ 2019年7月6日 05:30 ]

JRA六本木本部で開かれた禁止薬物問題に関する記者会見を行った(左から)馬事部部長補佐の松田芳和氏、広報担当理事の臼田雅弘氏、馬事担当理事の横田貞夫氏
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 禁止薬物「テオブロミン」が検出された飼料添加物「グリーンカル」を競走馬が摂取した可能性があるとして、6月15、16日の中央競馬で156頭がレースから除外された問題で5日、JRAが六本木本部で説明会を開き、全頭一律で出走予定だったレースの3着賞金相当を補償すると発表した。総額4億~5億円に上るが全てJRAが負担する。

 たとえば函館スプリントSではダノンスマッシュを筆頭に6頭が除外となったが、6頭全てに3着相当の980万円が補償される。加えて、対象馬全てに特別出走手当も与えられる。対象馬にはすでに次走優先出走権(2カ月間有効)も与えられている。

 騒動の原因となった「グリーンカル」は販売元の日本農産工業(本社・横浜市)の子会社が生産。28厩舎に納入されていた。今回、その製品からカカオなどに含まれる興奮作用のある禁止薬物「テオブロミン」が検出されたが、混入原因について横田馬事担当理事は「同じ建屋内にある別の製造ラインでカカオ豆副産物を粉砕しており、この粉じんが(グリーンカルの材料となる)アルファルファミールに混入した」と説明した。同社は「モニタリング」と称する独自の解釈で年1回の薬物検査は行っていたが、JRAの定める検査ルールは順守しておらず、チェック体制がずさんであったことが明るみとなった。

 薬物検査の結果を待たずにグリーンカルが流通したことに関しては「検査の申請、受検状況について正確な情報を有する体制が十分に取れていなかった」とJRA側の責任を認め、ファンや関係者に謝罪。今後の対応策については、販売業者、薬物を検査する競走馬理化学研究所、小売店にJRAが直接的にチェックを入れる体制を構築。「このような事案を二度と起こさないよう、再発防止に向けた取り組みを徹底する」とした。

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2019年7月6日のニュース