【天皇賞・春】エタリオウ100点!半年前から一変“般若の形相”

[ 2019年4月23日 05:30 ]

<天皇賞・春>エタリオウ
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 平成最後のG1を射止めるのは平成屈指のファイターの面構えだ。鈴木康弘元調教師(75)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第159回天皇賞・春(28日、京都)ではエタリオウに唯一100点満点をつけた。達眼が捉えたのは春の天皇賞馬を数多く出しているステイゴールドの産駒らしい般若の形相。平成を飾った数々の名馬、名種牡馬の特徴を挙げながら解説する。

 人相は胸の内を忠実に映し出す鏡。化粧や髪形ではごまかせません。気持ちによって良くも悪くも変わります。では、馬相も変化するのか。時として人相よりも劇的に変わる。半年前とは別馬のような顔つきを見せるエタリオウが雄弁に物語っています。

 昨年の菊花賞時には「余裕ある顔でゆったりと遠くを見ている」と指摘しました。ところが、今回は穏やかだった目つきが鋭くなり、鼻をとがらせ、耳に力を入れすぎています。穏和な弥勒菩薩(みろくぼさつ)のお面を脱ぎ捨てて般若の面をかぶり直したような顔つきの変化。きつい気性を顔にも表した父ステイゴールドと同じ形相です。馬相も心の内面を忠実に映し出す鏡なら、直線で苦しくなってもハミをかみしめた父の強いカン性が備わってきたのかもしれない。きつい気性を競馬でプラスに転化した平成最後の3冠馬オルフェーヴルなど優れたステイゴールド産駒のように…。

 心身一如といいますが、心の変化に歩調を合わせて体も成長曲線を描いています。昨年のダービー時に「線が細い」と指摘した肩とトモ(後肢)、腹周りが菊花賞でたくましくなり、半年を経た今天皇賞ではさらに実が入ってきました。特に腹周りのボリュームが増した。470キロ前後の体重でも歴戦の古馬らしい頼もしい体つき。尾をゆったりと垂らした威風堂々たる立ち姿も浮足立っていた3歳時とは大違いです。

 馬名の由来となった「得たりおう」とは、敵を仕留めた時に武将が上げる気勢。平成25、26年のフェノーメノ、27年のゴールドシップ、昨年のレインボーライン…。般若の形相で天皇賞・春を制したステイゴールド産駒が平成最後の盾も仕留めて、得たりおう!と快哉(かいさい)を叫ぶか。気負いもないのに、いきり立ったステイ面(づら)を見せる馬相は胸の内に宿った闘争心を忠実に映し出しています。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の75歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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