【大井・東京スプリント】菜七子キッキング惜しい2着 女性初ダートグレード制覇ならず

[ 2019年4月11日 05:30 ]

東京スプリントで惜しくも2着となった藤田騎乗のコパノキッキング(中央)左は勝ったキタサンミカヅキ(撮影・西尾 大助)
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 JRA唯一の現役女性騎手、藤田菜七子(21)は10日、大井競馬場で行われた交流G3「第30回東京スプリント」にコパノキッキング(セン4=村山)で臨み、2着惜敗。直線で鋭く伸びたが、歌手の北島三郎(82)が所有するキタサンミカヅキ(牡9=佐藤賢)に1馬身及ばなかった。重賞での自己最高着順を更新したものの、女性騎手によるダートグレード競走初制覇はならなかった。

 外から菜七子のコパノキッキングが伸びるも、内でサブちゃんのキタサンミカヅキが粘る。女性騎手初のダートグレード制覇は目前だが、ミカヅキは遠い。あと1馬身のところで逃した勝利。泥だらけになった顔が悔しさでゆがんだ。

 「負けてしまって凄く悔しい。最後は外に出して馬も伸びてくれたんですけど。勝った馬にうまく乗られたというか、勝った馬が強かったです」

 村山師が「やってしまう馬なので」と懸念していたスタートでいきなり最後方に置かれた。しかし、そこから内を上がってすぐにリカバー。スムーズに外へ出すと、末脚を最大限に生かした。後方からの直線一手となったフェブラリーS(5着)から示した違い。師は「位置を取りにいってうまく立ち回った」と鞍上をかばった。

 「(キッキングは)ナイターも不良馬場も初めてだったと思いますが、音やナイターの雰囲気で前回よりはテンションが高かった。馬の状態は相変わらず良さそうだったんですが」と菜七子。ダートグレード競走2着は06年浦和記念の山本茜(引退)に並ぶ女性騎手最高着順。それでも喜びは全くなかった。

 16年のデビュー以降、騎乗馬に恵まれない時期も地方で腕を磨いてきた。「正直、体力的にしんどい時もあります。それでも少しでもうまくなりたいし、依頼していただければ行くようにしている」。菜七子のスマホには直接、地方関係者からの依頼が届き、予定が空いていれば二つ返事で駆けつけた。遠征した地方競馬場は実に12場。地方行脚で磨いた腕はこの日も輝いた。

 キッキングの次走は交流G1かしわ記念(5月6日、船橋)か交流G3北海道スプリントC(6月6日、門別)を予定。秋には米G1・BCスプリント(11月2日、サンタアニタ)参戦プランもあり「もっともっと走れる馬だし、今後も期待は大きい」と菜七子。リベンジの機会はすぐにやって来る。

 ▽ダートグレード競走 国内で行われる重賞競走のうち、格付けされた中央、地方馬が出走できるダート競走を指す。格付けはJRA、NARなどから組織された日本グレード格付け管理委員会が行う。国際レースは「G」、それ以外は「Jpn」で格付け。東京スプリントは「Jpn3」だが、スポニチでは便宜上「交流G3」と表記している。

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2019年4月11日のニュース