【皐月賞】サートゥル100点!世界を魅了する“漆黒の貴公子”

[ 2019年4月9日 05:30 ]

<皐月賞>サートゥルナーリア
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 芸術点でもトップに立つ漆黒の貴公子だ。鈴木康弘元調教師(74)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第79回皐月賞(14日、中山)ではサートゥルナーリアに唯一100点満点を付けた。達眼が捉えたのは至高の芸術品を思わせるビロードの肌と筋肉の進化。驚がくボディーが無敗クラシック獲りを可能にする。

 パリのルーヴル美術館には「ビロードの肌」と称される黒い銅版画の数々が展示されています。戦前戦後のパリで活躍した巨匠・長谷川潔画伯の繊細な黒色の絵肌。世界中の芸術家たちがこの黒色に魅了されたように、サートゥルナーリアの黒い皮膚も世界のホースマンの目をくぎ付けにするでしょう。走る芸術品と呼ばれるサラブレッド。とりわけ、この黒鹿毛は至高の芸術と言うほかありません。

 鍛え抜かれた肩やトモ(後肢)の筋肉にうっすらと血管が浮き出て映る。それほど皮膚が薄い。美肌は環境と遺伝が生むといいます。たとえば、秋田美人の白い透き通った肌。この地の短い日照時間(紫外線による影響の少なさ)と遺伝的性質が背景にあるそうです。高額な化粧品に手を伸ばしたところであの美肌にはかなわない。馬の美肌も遺伝する。毛色こそ異なりますが、父ロードカナロア(鹿毛)の新陳代謝に優れた薄い皮膚を思い起こせば、合点がいくでしょう。

 そんな美肌に包まれているのは超一流のスケール。深いトモのパワーを受ける飛節は頑丈で、膝も引き締まっています。キ甲(首と背中の間の膨らみ)は背中が短く映るほど後ろにせり上がっています。それでいて、腹下にはゆったりとした長さがある。競走馬の理想とされる長躯(ちょうく)腹短の体形。しかも、各部位が滑らかにリンクしている。余裕のあるつくりは中長距離適性を示しています。

 「王様の耳はロバの耳」。昨年のホープフルS時にはロバのような大きな耳をイソップ物語の寓話(ぐうわ)になぞらえて指摘しました。ところが、わずか3カ月半の間にロバの耳もさほど気にならなくなった。筋肉のボリュームが増してきたからです。その弾力性に満ちた筋肉にうっすら浮き出ているのはホープフルS時に見られなかった血管。驚くべき成長力です。世界のスプリンター、ロードカナロアと名牝シーザリオとの間に生まれて、デビュー3連勝。そんな血統と蹄跡を知らなくても、ひと目で超一流馬だと分かる馬体です。

 両前肢と左後肢の膝に新たに着けた肢巻きを除けば非の打ちどころがない。「ビロードの肌」を持つ漆黒の貴公子です。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の74歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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