カナダで成長19歳木村和士「いつの日か日本でも」

[ 2019年3月15日 05:30 ]

カナダへ向け出発する木村和士騎手(撮影・平松さとし)
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 【競馬人生劇場】2月末日の羽田空港、国際線ターミナル。ここで一人の若い男と約2カ月ぶりの再会をした。

 木村和士君。1999年9月生まれだから現在まだ19歳。カナダで乗っているジョッキーだ。

 北海道浦河にある育成牧場で生まれた。兄は第1回ジョッキーベイビーズの王者で、自らも同イベントに出場し決勝ラウンドまで進んでいた。「6歳からポニーに乗り、小学4年の時には本気で騎手になりたい」と考えていました。

 JRA競馬学校に入学し、卒業直前まで行きながらリタイア。それでも騎手になりたい夢を捨て切れずカナダへ渡った。

 「自分の実家で乗っていた人(福元大輔騎手)がカナダにいたので、彼を頼って行きました」

 それが2017年の秋のこと。観光ビザだったため一度帰国したが、18年3月にはワーキングホリデーの手続きをした後、再度かの地へ飛んだ。毎朝、ウッドバイン競馬場で調教をつけていると関係者の目に留まった。

 「騎手エージェントが“自分に任せろ”という感じで、さまざまな手続きをしてくれました」

 そこからはとんとん拍子。5月27日にデビューを飾るといきなり2着。13戦目に初勝利を挙げるとリーディングトレーナーからの依頼も急増。1日に5勝したり、重賞も制覇。シーズンオフとなった12月までの間に実に104勝。カナダのいわゆるJRA賞に当たるソブリン賞の最優秀新人賞を確実にした。

 今年の開催は4月20日からだが、それを前にして2月28日に羽田を出発した。見送りに行くと、目を輝かせて言った。

 「もっと英語の勉強をしたいので開幕より少し早めですがカナダへ戻ります。今年は昨年以上の成績を残し、いずれアメリカなど他の国でも乗るのが目標です。もちろん、いつの日か日本でも乗りたいです!!」

 その願いがかなうことを期待し、私もまずはソブリン賞の授賞式に駆け付けるつもりでいる。(フリーライター・平松さとし)

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