【有馬記念】池添ブラストV!平成ラストGPは日本人

[ 2018年12月24日 05:30 ]

<有馬記念>グランプリを制したブラストワンピース(手前左)の池添はガッツポーズ(撮影・村上 大輔)
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 平成最後のグランプリ「第63回有馬記念」が23日、中山競馬場で行われ、中団から伸びた、ただ1頭の3歳馬、3番人気ブラストワンピースが1番人気レイデオロの追い上げを首差しのぎ、G1初制覇を飾った。3歳馬による“古馬混合G1”4勝目はグレード制導入後の最多勝。3歳馬による有馬制覇は19頭目。鞍上・池添謙一(39)は歴代最多の有馬記念4勝目。外国人騎手のG1連続制覇も「10週」で止めた。障害からの転身で注目されたファン投票3位のオジュウチョウサンは5番人気9着。障害を含む連勝は11で途切れたが、そのチャレンジに惜しみない拍手が送られた。

 残り600メートル。池添は勝負を懸けてブラストワンピースを追いだした。背後にはレイデオロ。しかし、勝つにはここしかなかった。直線を向く。坂で前に詰め寄った。残り100メートルで先頭。迫るレイデオロを首差退けた。池添の左腕が高々と上がる。ウイニングランでは愛馬の背中にうずくまった。

 「G1を獲れると言い続けてきて…。やっと獲れた。証明できて良かった」。ドリームジャーニー、オルフェーヴルで暮れの主役を務めてきた男はこれが歴代最多の有馬4勝目。宝塚を含むドリームレース7勝目だ。平成最後の有馬にふさわしいVに「(名前を)有馬謙一にしましょうか!?」とおどけた。

 デビュー戦からコンビを組み続け、ダービー5着、菊花賞4着。クラシックの無念を晴らすという一念で攻めた。出負け気味だったが手綱を押して位置を取った。中団外の絶好位。追い出しの場所もドンピシャだった。「包まれてはいけないのでゲートは出した。レイデオロは絶対後ろにいる。だから仕掛けどころは大事だった。最後はしのいでくれ、頑張ってくれと…」。胃が痛くなるようなプレッシャーから解放された。池添は心の底から笑った。

 大竹師にとっては開業10年目でのG1初制覇。「ようやく本当に獲れた。照明が入った表彰台は今まで見たことがない景色だった」。97年、競馬の道に入った大竹師が厩務員として初めて在籍したのが平成最初の有馬記念馬イナリワンが所属した美浦・鈴木清厩舎。平成最後を自分が締めくくるのだから不思議な縁だ。

 父は通算970勝を挙げた大崎昭一さん。その8大競走初制覇は67年有馬のカブトシローだった。79年有馬は鮮明に覚えている。テン乗りの父がグリーングラスを有終Vに導いた。師は当時9歳だった。「グリーングラスの時、父は(管理する)中野隆良先生の期待に応えようと必死だった。それくらい気持ちを入れないとG1は勝てないと教えてくれた」

 池添は昨年夏の出来事を思い出していた。「まだブラストがデビューする前。俺のG1初優勝は池添だなと大竹先生が言ってくれた。ずっと僕を使い続けてくれて実現できた」。今年は美浦と栗東を何度も往復。努力は実を結ぶ。外国人騎手のG1制覇を「10週」で止めてみせた。

 明け4歳代表として迎える19年。ブラストワンピースは大阪杯(3月31日、阪神)や天皇賞・春(4月28日、京都)を視野に入れる。大竹師は「ここで満足せず、さらに良くなるように」と気を引き締めた。3歳馬が勝ち、グランプリ男が表彰台に立った平成最後の有馬記念。新時代もこのコンビが主役であり続けるに違いない。

 ◆ブラストワンピース 父ハービンジャー 母ツルマルワンピース(母の父キングカメハメハ)牡3歳 美浦・大竹厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績7戦5勝 総獲得賞金4億3850万8000円。

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