【有馬記念】オジュウのハートの強さに“一目ボレ”した和田正師

[ 2018年12月18日 05:30 ]

オジュウチョウサン 半端ない挑戦(2)

2016年の中山大障害を制した(9)オジュウチョウサンと石神(右)。左は和田郎師
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 オジュウチョウサンが転厩馬ということは意外に知られていない。平地で11、8着。障害で14着。完全に頭打ちになったところで15年から和田正一郎厩舎へと移り、いきなり障害未勝利で11番人気2着。浮上のきっかけをつかんだ。

 「最初見た時から身体能力が高いと感じていた。特にスタミナ面。心臓が強い」。これが師の第一印象だった。同時に前向きなハートも感じ取った。「ステイゴールド産駒だから普段はうるさくて扱いも大変だが、とにかく気持ちが強い。本当に凄い馬だと思う」

 師が感謝するのが障害時代のパートナーだった石神。障害重賞9連勝を達成した名コンビだが、平地に転じた今も調教にまたがる。「“美浦にいる時は乗りますよ”と言ってくれる。そしてオジュウのことを本当によく分かっている。調教自体も上手だし、こちらがイメージする微妙な加減を分かってくれている。ありがたい。それだけオジュウを特別な存在、大事に思ってくれているのだと理解している」

 平地に転じての連勝。ファン投票3位でのグランプリ参戦。まるで小説でも読んでいるかのような展開には師自身も驚きを隠せない。「こちらの想像を超えていく凄さを感じている。障害での凄さはファンの皆さんも我々も知っていたけど、手探り状態の平地で勝ってしまうのだから…。ファン投票の結果も本当にありがたい。僕らが“出たい”と言っても票数が足りなければ出られないのだから…」

 そんな投票結果に呼応するかのようにオジュウチョウサンはここに来て調子を上げている。平地に転じてから、やめていた金曜の障害練習を復活させたことがいい方に出た。「凄く前向きさが出てきた。(1週前追いの)動きも悪くなかった。(障害練習の復活など)全員でいろいろと考えながらやっている。有馬記念はいい状態で出してあげたい」。今年、オジュウチョウサンはいくつもの驚きをくれた。ベストを尽くしてグランプリの舞台に送り出したその先に待つ驚きは…。師にも全く予想がつかない。

 ◆和田 正一郎(わだ・しょういちろう)1974年(昭49)10月3日生まれ、千葉県出身の44歳。父は和田正道元調教師。誇りを持って仕事に取り組む父の姿を見てホースマンの道を志す。02年成宮明光厩舎厩務員を経て父の厩舎へ。09年2月、調教師試験合格。同年5月開業。16年中山グランドジャンプ(オジュウチョウサン)でJRA初重賞。オジュウチョウサンで障害重賞9勝。平地は17年函館記念(G3)をルミナスウォリアーで制した。JRA通算2194戦133勝。

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