【チャンピオンズC】パヴェル、15年ぶり外国馬Vへ日本仕様の蹄

[ 2018年11月30日 05:30 ]

ダートコースで調教を行うパヴェル(撮影・前岡正明)
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 秋の最強ダート王を決する「第19回チャンピオンズC」(12月2日、中京)の枠順が確定した。今年は米国馬パヴェルが3年ぶりに海外から参戦。3月のドバイワールドC4着、6月には米G1初制覇を飾った実力派。ダート競馬の本場・米国が送り込んできた刺客が、日本仕様の秘策で15年ぶり2頭目の外国馬Vを狙う。

 朝日に照らされた中京ダートコース。決戦の舞台を踏みしめるように、パヴェルは静かに、軽快にコースを駆け抜けた。1F16秒前後のキャンターで約1周半。「少しずつ加速しながら回ったがいい動きだった。食欲も落ちていないしネガティブなサインは何もない。満足だよ」。見届けたレアンドロ・モラ師が穏やかな視線を愛馬に向ける。日本の追い切りの概念からすれば軽い内容だが、パヴェルにとってはルーティン。「これが普段通りのトレーニング。いつもこうしてレースに備えるんだ。それができるのがコンディションのいい証拠だよ」。トレーナーは胸を張った。

 調整法は本国流を貫いたが、日本向けの策もしっかり講じた。米国とは異質のダートに備え、削蹄のやり方を変えた。JCダート時代の05年に参戦したラヴァマンに、管理するダグ・オニール厩舎のスタッフとして同行したモラ師は、当時を振り返る。「ラヴァマンはレース(11着)後、左前肢の蹄から大量に出血していた。米国では脚が地面に着きやすいように蹄を削るが、日本の砂質には合わなかった。だから今回は日本の馬場向きの削蹄を研究してきた」。苦い経験を生かしての再チャレンジだ。

 “ジャパン仕様の蹄”は上々。調教に騎乗するセデーノ助手は確かな手応えをつかんでいる。「米国も地域ごとにダートの質が違う。乗っていれば馬場を好んでいるか、嫌がっているか、すぐに分かる。今回、白井(競馬学校)、中京と走ったが馬はOKのサインだよ」。気になる点は?の問いには「1頭で寂しく調教していることかな。普段は馬に囲まれているからね。でも逆に集中できていいのかも。他の馬がいるとハイテンションだから」と豪快に笑い飛ばした。

 2歳時の骨折の影響でデビューが3歳7月と遅れたが、3戦目でG3を制覇。その後も強敵相手の善戦で力を蓄え、今年6月にはデビュー1年足らずでG1初制覇(スティーブンフォスターH)を飾った素質馬。モラ師は「勝つつもりがなければ、こんなに長い距離を運んでは来ない」と締めくくった。鞍上はケンタッキーダービー2勝の名手グティエレス。決して物見遊山ではない。

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2018年11月30日のニュース