肉体、技術、人望を持つ幸英明という男

[ 2018年11月30日 05:30 ]

16年、ドバイワールドカップに出走したホッコータルマエと幸
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 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、中京競馬場ではチャンピオンズC(G1)が行われる。ダート王を決めるこのレース、ジャパンCダートとして東京競馬場で産声を上げたが、その後、阪神競馬場に変更になったのを経て、4年前の14年から現在の中京競馬場に舞台を移し、名称も改められて行われている。

 中京に移って最初となったチャンピオンズCを勝ったのはホッコータルマエ。同馬の主戦といえばもちろん幸英明騎手だった。14年から16年まで3年連続でドバイワールドCに挑んだ同馬について、当時、幸騎手は言っていた。

 「ドバイをはじめ国内でもあちこちへ連れて行ってもらい、たくさん経験を積ませてくれました。タルマエには感謝しかありません」

 同馬とコンビを組み始めたのは12年からだが、その少し前あたりから幸騎手の騎乗数は各段に多くなる。10年にJRA史上初めてとなる年間1000鞍を記録すると12年、15年、そして昨年の17年と4度も大台を突破。1000鞍を4回というのはあの武豊騎手でさえ記録していない大記録。強靱(きょうじん)な肉体に加え、騎乗技術や人望もなくては達成できない偉大な記録である。そんな幸騎手だがJRAの騎手になったのにはさまざまな偶然が絡んでいた。

 「母親が入院した際、見舞った先の病院に落馬して入院していた牧場関係者がいました。僕は小柄だったので、その人に騎手を勧められました」

 また、JRAと地方競馬の区別もつかなかった彼は、荒尾競馬で騎手になるつもりだった。しかし、父の勧めで先に試験のあるJRAも受けてみたら合格したのだ。どこかで少し流れが変わっていたら彼の人生は大きく変わっていたことだろう。

 さて、その幸騎手だが、11月11日の京都競馬で落馬。右肘開放骨折で全治6カ月の重傷を負ってしまった。元気に復帰してくれることを願おう。

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2018年11月30日のニュース