【チャンピオンズC】ダサかっこいい!ゴールド100点

[ 2018年11月27日 05:30 ]

ダサかっこいいゴールドドリームに100点満点
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 大賞は「ダサかっこいい」に決定!?鈴木康弘元調教師(74)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第19回チャンピオンズC(12月2日、中京)では連覇を目指すゴールドドリームに唯一の満点をつけた。達眼が捉えたのは、ダサくてもかっこいい後肢のつくり。有力馬を今年の流行語になぞらえながら解説する。

 今年流行した言葉を決める「2018 ユーキャン新語・流行語大賞」が次週12月3日に発表されます。カーリング女子の「そだねー」「もぐもぐタイム」やテニスの全米オープンを優勝した大坂なおみ選手の「なおみ節」などがノミネート。チャンピオンズCの有力候補を今年の流行語になぞらえてみると…。馬体大賞は「ダサかっこいい」ゴールドドリームです。

 男性アイドルグループDA PUMP(ダ・パンプ)のヒット曲「U.S.A」が「ダサいけど、かっこいい」と全国的なブームになりました。ダサい衣装や歌詞、時代遅れのユーロビートとは対照的なかっこいルックスと歌唱、ベタでも切れのあるダンス。相反する要素が共存する歌と踊りが人を引きつけるのでしょう。

 歯に衣着せぬ言い方をすれば、ゴールドドリームも後ろ脚の姿がダサい。飛節の角度が浅いため、後肢が間延びして見える。いわゆる「直飛」です。そのせいで踏み込みも浅く、さばきが硬くなりがちです。ところが、今回はその直飛が目立たなくなって間延びを感じさせません。トモの筋肉が発達したからです。筋肉で張りの増したかっこいい後肢が、ダサい飛節を補っている。♪カモン〜ベイベー〜アメリカ…。私は音楽に詳しくないが、ダサい歌詞を切れのある歌唱でかっこよく補ったDA PUMPに似ているような…。ともあれ、5歳秋を迎えての馬体の成長がダサかっこいい見栄えにしたのです。

 3歳時から前肢には分厚い筋肉を付けていました。標準サイズの顔が小顔に見えるほど肩と首が発達していた。発展途上の後肢ともバランスを欠き、ダサく映った。今は後肢が成長したことで前後肢のバランスが取れ、とてもかっこよくなりました。

 身心一如といいます。肉体と精神は一体との意味。馬体の成長に合わせて気持ちにも余裕が生じてきた。目つき、耳の立て方、ハミの取り方。いずれもこれまで以上にゆとりがある。過去のG1時よりも伸びのある立ち姿です。蹄油で光った蹄がかっこいい。とてもよく手入れされている証拠です。腱がしっかり浮き出て、締まりのある下肢もかっこいい。加減せずに調教できる丈夫な脚です。

 「ダサかっこいい」のは心身とも完成の域に入った証。100点満点で馬体大賞を贈呈します。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の74歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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