JRA 女性騎手減量新ルール正式発表、ポスト菜七子に道開く

[ 2018年11月21日 05:30 ]

浦和9Rで藤田騎乗のヴィータファンは5着に終わる(撮影・村上 大輔)
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 JRAは20日、スポニチ本紙既報通り、女性騎手の騎乗機会拡大を図るため、女性騎手に対する負担重量(馬が背負う騎手、鞍などの総重量)の減量新制度を、来年3月1日から導入すると発表した。新制度では、女性騎手は50勝以下は4キロ減、51勝から100勝までは3キロ減、6年目以降か101勝以上でも2キロ減と、永続的に減量対象となる。JRAで唯一の現役女性ジョッキーである藤田菜七子(21)は同日、新制度について初めてコメントした。

 浦和競馬場での全騎乗終了後、菜七子は新ルールについて初めて言及した。

 「私は決められたルールの中で乗るだけです。より一層努力してしっかり結果を出して、頑張っていきたいと思います」

 JRAはこの日、来年3月1日から導入する女性騎手の減量についての新制度(重賞を含む特別競走、短期免許の外国人女性騎手には適用外)を発表。現在は、免許取得5年未満の騎手には勝利数に応じて負担重量の減量(最大3キロ)が適用されるが、男女差はない。今回の新制度では、女性騎手に限り50勝以下は4キロとすることに始まり、免許取得後の年数、勝利数に関係なく、現役の間は永続的に2キロ減を保証するなど大幅緩和となった。JRA競走部番組企画室の柏田秀治室長は今回の改革に至った背景を、「藤田菜七子騎手は活躍しているが、過去の女性騎手は十分な騎乗機会を与えられず早期引退してきた。藤田騎手だけでなく、今後デビューする女性騎手が長く活躍できるように設定した」と説明した。

 競馬界では重量が1キロ違えば、1馬身、タイムにして0秒2差違うともいわれる。菜七子自身が望んだことではないにしろ、新制度が今後大きな“恩恵”となるのは間違いない。それは現役時代に苦しい戦いを強いられてきた女性騎手にとっても、うれしいニュースとなった。

 JRA通算17勝を挙げた西原玲奈助手(37=現姓前原)は「ナナちゃんが頑張ったから今回のような道ができたと思う」と菜七子の功績を称えた上で、「私は減量特典がなくなったときに騎乗数が減って、どうしたらいいか分からず不安だった。競馬はまずレースに乗らないとチャンスがない。(永続的に)2キロ減(が保証されること)で少しでもチャンスが増えれば。今後は女性がもっと増えてリーディング争いにも加わるようになってほしい」と未来の後輩たちに自らの思いを託した。

 「騎手になりたかったのであって、女性騎手になりたかったわけではない」と話してきた菜七子にとって、今回の新制度に複雑な思いもあるのかもしれない。一方で、「(私を見て)競馬に携わる女性が増えてくれたらうれしいし、今後出てくる女性騎手のお手本になれるように頑張りたい」との思いも胸中に共存してきただけに、新制度は菜七子の使命の一端を担う。

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