【マイルCS】6週連続外国人!今度はビュイックがG1初制覇

[ 2018年11月19日 05:30 ]

<マイルチャンピオンS>混戦制して勝利したビュイック騎手騎乗のステルヴィオ(手前から2番目)(撮影・田中 健作)
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 外国人旋風は止まらない。「第35回マイルCS」が18日、京都競馬場で行われ、4年ぶりに来日した英国の名手ウィリアム・ビュイック(30)がJRA・G1初勝利。初コンビのステルヴィオ(牡3=木村)を最内枠から巧みなリードで初タイトルへと導いた。開業8年目の木村哲也師(46)も歓喜のG1初制覇となった。

 また、凄腕が海を渡ってきた。ステルヴィオの馬上で、白い歯をこぼしたのが英国のビュイック。土曜の東スポ杯2歳S(アガラス=2着)に続き、異国で鍛えた腕っ節の強さが光る。興奮のウイナーズサークル。「今年は他の国でもG1を勝っているけど、日本で初めて勝てたのは本当にうれしい」と笑顔でファンに喜びを伝えた。

 レースの打ち合わせを苦笑いで振り返ったのが木村師だ。「“5番手以内で運んでいいか?”と聞いてきた。そりゃ、それができれば…と思ったけどね(笑い)」。最内1番枠からポンと出ると、鞍上が少しだけ手綱をしごく。外から急ぐ先行馬を行かせ、宣言通りの5番手に収まった。「まず、スタートが凄く良かった。1番枠だったし、自然な流れでポジションを取れた」とビュイックはこともなげに振り返る。

 道中はインを回り、直線では強力先行勢アエロリット&アルアインの直後。過去に見せてきた後方一気にかける姿はない。「ペースも速くなかったし、思った通りの競馬だった」。残り100メートル付近で前2頭の間にスペースが生まれると、一気に加速。アルアインをパスするとラストは内ペルシアンナイトとの激しい追い比べを頭差振り切った。

 レース後、鞍上は「彼はタフでビューティフルな馬だった。厩舎スタッフがそういう状態に仕上げてくれた」と端正なマスクを崩した。JRAの重賞は過去に4勝しているが、G1は14年有馬記念のトゥザワールドの2着が最高。「ずっと日本に来たいと思っていました。久しぶりに来ても、すぐにいろいろな人がサポートをしてくれたので感謝をしたい」と話した。

 ゴドルフィンの主戦を務める30歳は今年、各国のG1で大暴れ。自国の英国ダービー制覇(マサー)を筆頭に、仏、米、愛、香港、ドバイでも勝利。それでも7カ国目のG1制覇となった日本には強い思いがあった。「今年は3月の時点で秋は日本でと決めた。日本の騎手はレベルが高いし、そういう中で結果を出したかった」。G1・6週連続Vに、11日京都で1日11勝と大暴れの外国人ジョッキーたち。“ジパング”での黄金発掘は、まだまだ続きそうだ。

 ◆ウィリアム・ビュイック ☆生まれとサイズ 1988年7月22日、ノルウェー出身の30歳。デンマーク国籍。父ウォルターは北欧で活躍した騎手。母も馬術の選手という競馬一家に育つ。1メートル69、53キロ。

 ☆キャリア 父の影響で幼少期から馬に親しみ騎手を志す。06年に英国で見習騎手としてデビュー。08年に見習騎手のリーディングを獲得し、英国の騎手表彰であるレスター賞を受賞した。

 ☆ステップアップ 09年にカナダでE・P・テイラーSを勝ちG1初制覇。10年からは英国の名門・ゴスデン厩舎の主戦となりナサニエル、ダーレミなどとのコンビでG1タイトルを量産。14年からはゴドルフィンの主戦を務め、マサーで挑んだ今年の英ダービーで初優勝。名実共に欧州を代表する名手に成長。

 ☆日本での成績 12年ワールドスーパージョッキーズシリーズで初来日。短期免許での騎乗は13年1〜3月、同年11月、14年11〜12月に続いて4度目。重賞は13年クイーンC(ウキヨノカゼ)、アーリントンC(コパノリチャード)、14年京都2歳S(ベルラップ)、阪神C(リアルインパクト)に次いで5勝目。JRA通算230戦22勝。

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