【秋華賞】世界見えた!アーモンド3冠 来年は凱旋門賞挑戦も

[ 2018年10月15日 05:30 ]

圧倒的な強さを見せつけ快勝したアーモンドアイ(撮影・平嶋理子)
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 世界がくっきりと見えた。牝馬3冠最終戦「第23回秋華賞」が京都競馬場で行われ、単勝1・3倍の1番人気アーモンドアイがオークスから中146日のぶっつけで快勝。桜花賞、オークスに続き、史上5頭目の牝馬3冠を達成した。クリストフ・ルメール(39)は昨年のディアドラに続く連覇。管理する国枝栄師(63)は10年アパパネに次いで2度目の牝馬3冠を獲得。来季は海外遠征のプランも浮上。現役最強牝馬の夢は果てしなく広がった。

 4角で大外に持ち出したアーモンドアイ。既に先頭で直線を迎えたミッキーチャームとの差は10馬身以上あった。届くのか。見守る4万観衆がざわめいたのは、ほんの一瞬だった。直線に向くと1頭だけ次元の違う加速力。止まったかのように見えるライバルを次々と抜き去る。残り50メートルで逃げ粘るチャームを並ぶ間もなくかわし、1馬身半突き放してゴール。上がりはデビューから6戦連続のメンバー最速となる33秒6。文句なし。史上5頭目の牝馬3冠だ。「素晴らしい脚だった。日本で一番強い馬。ファンタスティック」。秋華賞連覇のルメールは愛馬に最大級の賛辞を送った。

 完勝。誰の目にも馬の能力を信じ切った騎乗に映った。だが、鞍上の内心は不安だらけだった。「休み明けでトップコンディションではなかった。馬場入りからテンションが高く、ゲートの中でも落ち着きがなかった。スタートも良くなかった」。道中は先頭から12〜13馬身、縦長になった馬群の中団を進んだ。迎えた最終コーナー。「前の馬が進んでいかず仕方なく大外へ。内回りはコーナーが急なのでバランスを崩した」。冷や汗もかいたが不安はそこまで。「直線で真っすぐ走りだしたら凄かった。いい気持ちだった」

 ウイニングランを終え、脱鞍所に戻ると、駆け寄った国枝師と歓喜の抱擁。「トリプルクラウンは人生で初めて。本当にうれしい。馬の状態を1年間キープするのは難しい。国枝先生もスタッフもプロの仕事をした。感謝したい」と称えた。国枝師も「レースはクリストフに全て任せていたから。ホッとしたよ」と満足顔。「まだ余裕があるから、もっと強くなるだろう」とつぶやいたトレーナーに、ルメールは「もう十分強いです」と周囲を笑わせた。

 同世代の牝馬にもう敵はいない。次は牡馬、年長馬と戦う新たなステージに入る。次走はジャパンCが有力。「加速力、瞬発力、スタミナ、全てのレベルがとても高い。僕の中でレジェンドはウオッカ。でも、すぐに追いつくよ」。今年のJCは別表の通り、強豪牡馬ぞろい。しかし、ルメールは自身の手綱で09年JCを制した女傑の名を挙げ、自信をのぞかせた。来季は世界挑戦のプランもある。「来年のメインターゲットが凱旋門賞になったら、それは凄く楽しみだね。彼女なら世界のどこへ行っても大丈夫。もっと強くなったら?どんなレースでも勝てるかもね」。リップサービスではない。紛れもない本心だ。

 2着につけた1馬身半差は歴代の3冠牝馬を上回る最終戦での最大着差。ポテンシャルは底知れない。心地よい秋風が吹き抜けた淀のゴールの先に見えたのは…。来秋のパリロンシャンで躍動する愛馬の姿だったか。

 ◆アーモンドアイ 父ロードカナロア 母フサイチパンドラ(母の父サンデーサイレンス) 牝3歳 美浦・国枝厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績6戦5勝 総獲得賞金4億1719万9000円。

 【秋華賞アラカルト】

 ☆ぶっちぎり ルメールは13日の府中牝馬Sもディアドラで勝っており2日連続重賞勝ち。これで今年のJRA重賞15勝。2位のM・デムーロ、川田(9勝)を大きく引き離している。

 ☆牝馬は任せろ 国枝師は牝馬G1・8勝目。84年以降では松田博資師(引退)の12勝に次ぐ2位。

 ☆圧倒 シルクレーシングは今年のJRA重賞11勝目。サンデーレーシングの8勝を上回っている。

 ☆馬名の意味 「美人とされる顔の目の形」。切れ長のエキゾチックな目のことをいう。

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