【神戸新聞杯】ワグネリアン、不安一走11秒9

[ 2018年9月20日 05:30 ]

藤岡康太騎手を背に坂路で単走で追い切りするワグネリアン
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 両雄並び立つ。早くも今年のダービー馬ワグネリアンと皐月賞馬エポカドーロが相まみえることになった菊花賞トライアル「第66回神戸新聞杯」(3着までに優先出走権)。共に19日、栗東で最終追いを行い堂々たるパフォーマンスを披露した。主戦・福永祐一(41)の負傷により、ワグネリアンには調教パートナーを務めてきた藤岡康太(29)が代打騎乗する。また、美浦では29日から再び日本で騎乗予定のジョアン・モレイラ(34)が同トレセン初騎乗。秋競馬の台風の目になることを予感させた。

 主戦不在のアクシデントをはね返すように、一段とたくましくなった姿で帰ってきた。秋の始動戦を迎えるワグネリアンは、福永祐一が16日の阪神6Rで落馬負傷。「頭蓋骨骨折、気脳症」と診断されたため急きょ、藤岡康太の“代打”騎乗が決まった。鞍上は今年2月から同馬の調教に騎乗しダービーVに貢献。実戦は初めてだが、ワグネリアンの成長を身近に感じ、走りもしぐさも知り尽くしている。この日の最終追いでも手綱を取り坂路単走。しまい重点に4F53秒6。ラスト2Fからピッチを上げていくと、12秒6→11秒9と抜群の反応。前肢を蹴り上げるようなダイナミックなフォームで、馬なりのまま好時計を刻んだ。

 「春先よりも息遣いが良くなっているし、精神面も落ち着いて操縦性が高くなってきた。本当にいい動き。大事な秋の始動戦ですし、内容も結果も求められるレース。期待に応えたいですね」

 前走のダービーは不利な外枠(17番)を克服。序盤から位置を取りにいく福永のゲキに応えるように、府中の長い直線を駆け抜け世代の頂点に輝いた。夏場は充電し8月下旬に帰厩。友道師は「体に幅が出てパワーアップ。春は調教から歩いて馬場入りできないぐらい落ち着きがなかった。それが今は精神面もドッシリしてきた」と成長ぶりを話す。新コンビの藤岡康についても「普段の調教から一番乗ってくれているジョッキー。ダービーは康太のおかげで勝てたようなものだから」と全幅の信頼を寄せる。

 このレースの後は、距離適性を考慮して天皇賞・秋(10月28日、東京)に向かうプランが有力。友道師は「次はこの結果次第。ダービーは先行する形だったけど、今回はもう少しためる形になると思う」と展開をイメージ。その上で「秋初戦なので100%の出来まではいかないけど、普通に走ればいい勝負になると思うよ」と手応えをにじませた。

 逆境をはねのけてこそ、真のダービー馬。威厳と誇りを胸に、ライバルの挑戦を堂々と受けて立つ。

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2018年9月20日のニュース