的場、次の目標は東京ダービー制覇!7152勝達成から一夜

[ 2018年8月14日 05:30 ]

新記録から一夜明け、7152勝マフラータオルを手に笑顔を見せる的場文男騎手(撮影・西尾 大助)
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 地方競馬最多通算7152勝を挙げた的場文男(61=大井)が一夜明けた13日、大井競馬場内で日本新記録達成記念会見を行った。佐々木竹見元騎手の持つ地方競馬最多勝記録を17年1カ月ぶりに更新した“アラ還”ジョッキーは穏やかな表情で記録達成までの道のり、今後の目標、自身の引退などについて赤裸々に語った。

 ――7152勝達成から一夜明けて。

 「(記録達成まで)長引いていたのでホッとしたというのが一番。前回の大井(7月30日〜8月3日)は本当に悔しい思いをしたので、“今度こそ絶対に大井で”と思っていた。昨日はファンが1万6000人も入ってくれた。子供までが“マトバちゃん頑張って!”と応援してくれて、涙が出るほどうれしかった。皆さんに応援していただいて45年間やってこられた。自分一人じゃ何もできなかった。大井で達成できて本当に良かった」

 ――記念すべき7152勝目はデビュー戦となるシルヴェーヌ号だった。

 「能力試験では3、4馬身出遅れて、それから10日間ぐらいしかたっていなかった。だから輪乗りの時から、とにかくスタートだと思っていた。このクラスでは速いペースで逃げていたので(途中で)つぶれるんじゃないかと心配したが、何が何でも1着だと思って追った。最後の直線はゴールが遠かった」

 ――そのレースでは和田譲治騎手のゴールドウイッシュが玉砕覚悟で競り掛けてきた。

 「7000勝達成の前も差し返されたりしたが、勝負の世界だから堂々と戦ってこそ熱い競馬になる。勝負の世界は厳しい。みんな勝ちたい。燃える騎乗がファンはうれしい」

 ――記録達成まで苦労した。

 「新記録まで残り10勝ぐらいから、“勝たなきゃ”とプレッシャーや焦りがあったと思う。この1カ月ぐらいは乗れていなかったね。今日からバリバリ勝っていきます」

 ――記録達成直後のセレモニーで他の騎手たちに胴上げされた。

 「“落とす、落とす”と冗談を言っていた若い騎手がいたが、下はコンクリートだからね」

 ――昨夜はどう過ごした。

 「缶ビールを2、3本飲んで(午後)10時すぎには寝た。朝は4時半に起きて調教に行きました」

 ――長きにわたり地方競馬界をけん引してきた。

 「地方競馬の人気が落ちて心配な時期もあった。売り上げもどんどん減って、嫌な気持ちで乗っていた。お客さんも来ないんじゃ、競馬に乗っていても寂しい。最近はどんどん売り上げも上がっている。馬の全能力を引き出し、精いっぱいの競馬をすれば、馬券を買っているファンもうれしいし、こちら(騎手)もうれしい」

――今後の新たな目標は?

 「去年7000勝して、あと152勝に向かって毎日一生懸命やってきた。(佐々木)竹見さんの記録(7151勝)に力、エネルギーをもらった。その宿題が終わって目的がなくなりました。目的がなくなったんで、老け込んでいくかもしれませんね(笑い)。今後の目標は強いて言えば(37回騎乗して)2着10回の東京ダービー制覇かな」

 ――1973年10月のデビューから騎手生活も46年目。

 「騎手をやっていると、つらいことの方が多い。スポーツは1対1の戦いが多いが、競馬は1対13とか1対15とかだから、その分、勝った時の喜びは大きい。でも7152回は喜んだけど、ほかの3万5000回ぐらいは悔しい思いだから。1着の時は人には言えない喜びがある。それが忘れられないから続けているんだと思う」

 ――来月7日には62歳になる。

 「61歳だけど同年代の人たちにはパワーをあげられているのかな、とは思う。ただ何となく年だし、あと1年か1年半?年を取って精神面で疲れること、苦痛が増えた。若い頃の方が楽しんで乗れていた。今は馬に乗るのがトレーニング。それ以外にやり過ぎちゃうと疲れが残る。勝っていると、やめたいという気持ちは薄れる。ファンが喜んでくれるうちはもうちょっと乗る。今年も(年間)100勝を目指す。(年間)30〜40勝になったら引き際かなと」

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