「的場ダンス」は努力と技術の結晶 見た目より馬の動きを優先

[ 2018年8月13日 05:30 ]

的場 地方競馬最多勝利日本記録更新

<大井5R>1着でゴールするシルヴェーヌ。鞍上の的場は地方競馬日本新記録通算7152勝を達成(撮影・久冨木 修)
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 的場の大きな魅力の一つが「的場ダンス」と称される特異な騎乗フォーム。追う際に全身を上下に激しく揺さぶり伸び上がって沈み込む時にムチを振り下ろす。その様子はまるで馬上で踊っているかように見える。

 馬が走るのを邪魔しない、背中の負担を少しでも軽減させるという定石には反するが、晩年に入り「どうしたら、もっと馬を動かせるようになるのか」と試行錯誤の末に編み出した騎乗法。「昔は俺も(フォームは)奇麗だったんだよ。でも、年を取ってからは的場ダンス。50歳を過ぎてからくらいかなあ。ただ、今も道中は前傾して動かない。ダンスは勝負どころから追う時。自分なりのリズムもあるんだ」と語る。一見派手に映るが、体幹はブレていない。全身が上下しても、両膝、両くるぶしで鞍を締めて挟み込み、腰もしっかり入っている。だから、叱咤(しった)激励だけが馬にダイレクトに伝わり、的場自身が馬上でバランスを崩すことはない。

 ダンスの陰には人一倍の努力がある。若い頃は走り込みを欠かさなかった。30代からはマッサージで体をケア。40代からはエアロバイク。しなやかで耐久力のある筋肉を追い求めた。調教に熱心に乗るのも筋力を落としたくない一心だ。

 「多少、騎手の格好は悪くても、それで馬が動いてくれればいい。いまだにこれだけ多くの馬に乗せてもらえている。ここまで努力して頑張ってきたから、今になって神様がご褒美をくれているんだ」。的場ダンスには61歳の技術が凝縮されている。

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2018年8月13日のニュース