馬券作戦“稍”変わる?今週開催からJRA各場「含水率」発表

[ 2018年7月27日 05:30 ]

芝コースでの試料(路盤の砂)の採取方法<JRA提供>
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 27日から、JRAは開催競馬場の芝&ダートコースの「含水率」をホームページで公開する。良〜不良の馬場状態を決定する上で参考とされている含水率とは?公開に至った経緯は?この情報を馬券作戦にどう生かしていくか?JRAの馬場管理担当者への取材を基に探った。

 馬場状態に関する新たな情報としてファンに提供されることになった含水率とは読んで字のごとく「馬場に含まれる水分の割合を表した数値」。例えば15%なら、馬場から採取した試料(芝は路盤の砂、ダートはクッション砂)100グラムあたり15グラムの水分が含まれるという意味。数字が大きい=湿った状態となる。

 計測方法は、まずゴール前と4コーナーの2カ所(レース距離の基準となる内柵から1メートル地点)から試料の砂を採取。これを、熱によって蒸発した水分量から含水率を計算する仕組みの「赤外線水分計」という機器にかけて測定する。

 JRAは以前から、4段階の馬場状態(良、稍=やや=重、重、不良)を決定する際に含水率を参考にしてきた。ただし、あくまでも参考。最終的には経験豊富な担当者が実際に馬場を歩いて感触を確かめ、画像(1)の指標に照らして判断する。このプロセスは含水率を発表する今後も変わらない。

 参考にすぎない含水率を今回、あえて公表する狙いは?JRA施設部馬場土木課の野津智課長補佐は「芝は8割以上が良発表となっており、ファンから“本当に良なのか”という問い合わせが多い。良の中でも乾いた方なのか、それとも稍重に近いのか。良を2段階に分けることも考えたが、記録の連続性を考えると簡単には変更できない。現行の発表を補完する形の情報になれば」と、新たな施策に至った経緯を説明する。

 含水率の公開はJRAホームページのみで、開催日前日の正午すぎと開催日の午前9時20分頃。雨が強く降っている日などはレースごとに含水率も変化するため、より細かく最新の情報発表を求める声もあるが、そこで問題となるのが計測に要する時間だ。砂を採取し、赤外線水分計の結果が出るまで約1時間。「2レースくらい前の情報を最新として発表する形になり、かえって混乱を招く可能性がある」(野津氏)ため、一日一度の発表となった。

 「この馬は12%を切ったら買い」など、含水率を馬券作戦につなげるには一定期間のデータ蓄積が必須。ただ、そこで注意したいのが競馬場によって芝コースの路盤が異なるという事実だ。JRAによると、良発表時における含水率の上限の目安は小倉は10%、東京は19%と2倍近くも違う(画像(2))。つまり小倉は数値が低め、東京は高めに出る路盤ということ。こうした傾向は念頭に置いておく必要がある。

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