【開成山特別】オジュウ、障害G1馬史上初平地初V!さぁ有馬

[ 2018年7月8日 05:30 ]

<福島9R・開成山特別>未勝利を脱出したオジュウチョウサンの武豊はファンに向かって笑顔で手を振る(撮影・村上 大輔)
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 伝説の“第2章”が始まる。J・G15勝を含む重賞9連勝中、障害界の絶対王者オジュウチョウサン(牡7=和田正)が7日、福島9R「開成山特別」(3歳以上500万下、芝2600メートル)で4年8カ月ぶり3戦目となる平地競走に臨み、3馬身差の快勝で同初勝利を飾った。この勝利で平地重賞登録の資格を獲得。長山尚義オーナー(73)は今後について“二刀流”ではなく平地一本のローテーションで12月23日の有馬記念(G1、中山芝2500メートル)に参戦することを明言した。

 「障害がなくても強かった!!」。獲得賞金5億3307万円。“史上最強の平地未勝利馬”の500万級挑戦を見届けたファンの気持ちを、大役を果たした武豊が代弁した。

 障害界では次々と新記録を生み、すでにレジェンドのオジュウチョウサンだが、平地は2歳デビュー時の2戦(11、8着)のみ。そんな絶対王者の異例の挑戦に、福島競馬場は朝から異様な熱気に包まれた。返し馬から「頑張れ!」と大きな声が飛ぶ。熱い視線に押されるようにオジュウが抜群のスタートを決めると、スタンドの観客が一斉にどよめいた。

 長山オーナーから「日本一のジョッキーを」と指名され、平地重賞の出走権利獲得へ勝利の至上命令を受けた武豊。冷静に前を見ながら4番手を確保すると、緩いペースを見越して2周目の3コーナーすぎでいち早く仕掛けた。2歳時に後方で見せ場なくモタついていた姿はもうない。そのまま先頭に立つと観客から大きな拍手が送られる中、最後は流して3馬身差ゴール。どこかで見たような風景。まるでキタサンブラックの有馬記念のようだ。

 障害でメキメキと力を付けた王者が、平地で新たな可能性を示した。「またがった感触でいい馬だと思った。父ステイゴールド特有の柔らかさとスタミナがある。道悪は決して得意ではなく、良馬場の方が良さそうな走法。今日の走りなら上を狙っていけると思う」。初コンタクトの名手も手応えは十分だ。

 見守った長山氏も「いやあ強い」と満面の笑み。長山氏はこの日、販売された同馬のマフラータオルの中に自ら作成したカードを特別に忍ばせていた。障害を跳ぶオジュウの写真の裏側には「有馬記念へ」の文字をプリント。「今は頭の中に障害という選択肢はない。本当に有馬記念を狙う。出走の権利は得たので、ファンの皆さんに投票していただけたら」と改めて暮れの大一番へ思いをはせつつ「有馬を勝ったらドバイへ」と大きな夢を口にした。

 ジャンプグレード導入後、J・G1を制した後に平地を勝ったのはオジュウが史上初。また一つ、新たな勲章を手にして向かう先は平地G1の頂。絶対王者は競馬界に新たな歴史を刻み続ける。

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