天国のオペラオー認めた和田17年ぶりG1制覇

[ 2018年6月29日 05:30 ]

<宝塚記念>ミッキーロケットで制した和田は表彰台で笑顔のガッツポーズ(撮影・神原 有沙)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】先週行われた宝塚記念を制したのはミッキーロケットだった。手前味噌になるがスポニチ本紙の予想で私はこの馬を本命にした。先週半ば、同馬の手綱を取る和田竜二に「ミッキーロケット発射だね!!」とLINEした。それに対する彼の返事は…。

 今回の勝利は和田にとってテイエムオペラオーで勝った01年春の天皇賞以来、実に17年ぶりのG1制覇となった。オペラオーとのコンビでは7度もG1を勝った。天皇賞は春に2度、秋も1度勝っていたが、春に勝った際、彼は「シャー!!」と叫びながら今まで見せたことがないくらいの満面の笑みを見せた。ジャパンCを制した際は、3着に敗れたファンタスティックライトのフランキー・デットーリが「オペラオーのことを“クレイジーストロング”と言ってくれた」と喜んでいたが、その時以上にうれしそうにしていた。そこで理由を聞くと、若き日の彼は次のように答えた。

 「春の天皇賞は岩元先生が一番勝ちたいと言っていたレースですので…」

 春の盾こそテイエムオペラオーの調教師で、和田の師匠でもある岩元市三のために何としても獲りたい栄冠だったということだ。

 そんな彼は「オペラオーに認められるような一流騎手になることが恩返し」と語っていた。17年という歳月は決して短くなく、「同期で最も仲良し」と言っていた常石勝義はケガにより引退。話題となった3人の女性騎手も皆、ターフを去った。この春には師匠が定年により厩舎を解散し、オペラオーも天寿を全うした。しかし、認められて恩返しするのに遅過ぎるということはない。雲の上のオペラオーも17年間の精進を認めてくれたことだろう。ちなみに冒頭のLINEに対する返事はレース後に届いた。そこにはただ「ありがとうございました!!」という言葉だけが記されていた。(文中敬称略)

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2018年6月29日のニュース