【東京ジャンプS】林、満足の引退 初JRA障害2千回騎乗

[ 2018年6月24日 05:30 ]

JRA障害騎乗2000回騎乗を達成し、胴上げされる林(撮影・近藤 大暉)
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 前人未到の領域に達した名手がターフを去る。林満明(51)が、23日、東京8RのG3「第20回東京ジャンプS」で中央競馬史上初のJRA障害レース2000回騎乗を達成。騎乗したアスターサムソンがレース中に右後肢ハ行を発症し、最下位11着に終わったが、自身の持つ障害レース最多騎乗記録を更新した。同騎手は同日をもって引退し、今後は調教助手としての道を目指すことになる。

 2000回目のJRA障害レースは、98年中山大障害(アワパラゴン)と同じ1番人気を裏切っての敗戦。以前、1番の思い出に当レースを挙げていた林は「全然駄目やった。右トモかな…」と11着に沈んだ相棒アスターサムソンを気遣う。神妙な面持ちのまま、引退セレモニーが行われるウイナーズサークルへと急いだ。

 心ないヤジが飛んだあの日から20年。林の脳裏に浮かんだのは当時の記憶だったか。しかし、暗い地下馬道を抜けた先に待っていたのはファンの大歓声と騎手仲間からの胴上げ。林は「本命馬をとばしてすみませんでした。これからも馬の跳ぶ奇麗な姿を見てもらって、障害レースを応援して下さい」と頭を下げ、愛用のブーツや2000回騎乗時のゼッケンをスタンドへ投げ込んだ。

 86年からコツコツと積み上げた2000の数字。それは林家の戦いでもあった。この日、セレモニーに参加した知子夫人(50)は「いつもドキドキして見守っていました。最後まで無事に帰ってきてくれてよかったです」。落馬が多い障害レース。他の障害騎手の妻とレース中の心持ちを相談し合ったこともあった。長男・修平さん(27)は「今日は母の“お疲れさま会”でもあります」とねぎらいの言葉を掛けた。

 現在障害リーディング首位。余力を残しての引退に見えるが「G1を勝って、いつやめてもいいと思ってからレースが怖くなった。もう満足です」と笑顔。改めて最も印象深い1鞍を問われ、「今日ですよ」と林。最後のハードルを無事飛び越え、静かにムチを置いた。

 ◆林 満明(はやし・みつあき)1966年(昭41)10月31日生まれ、滋賀県出身の51歳。所属は栗東・フリー。86年3月1日、ウキシバクイーンで初騎乗。同16日、シマノスピードで初勝利。障害は同15日、ビュウガールで初騎乗。同年10月12日、シマノゴットで初勝利。JRA通算3610戦277勝。うち障害はJRA歴代1位となる2000回騎乗して197勝。アップトゥデイト(15年の中山大障害、中山グランドジャンプ)のG1・2勝を含む障害重賞15勝。1メートル56、53キロ。血液型O。

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