菜七子 31勝到達!JRA女性騎手初のG1騎乗が可能に

[ 2018年6月18日 05:30 ]

<東京3R>ベルクカッツェでJRAのG1騎乗が可能となる31勝目を挙げ笑顔の藤田(撮影・村上 大輔)
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 夢のダービージョッキーへの第一歩――。藤田菜七子(20)が17日、東京3R(3歳未勝利、ダート1600メートル)を3番人気ベルクカッツェで制し、通算31勝(JRA通算29勝+地方でのJRA交流競走2勝)に到達。デビュー3年目にして、JRA女性騎手として史上初のG1騎乗が可能となった。早ければ今秋のG1騎乗、新元号となる来年の日本ダービーでの騎乗と夢は膨らむ。また、増沢(旧姓・牧原)由貴子を超える女性騎手JRA最多勝利新記録にあと6勝。新たなカウントダウンも始まった。

 馬上の菜七子が先頭でゴール板を駆け抜けた直後、東京競馬場のスタンドから平場レースでは異例ともいえる大歓声と万雷の拍手が巻き起こった。

 「自厩舎の馬で勝てて良かった。(31勝は)私自身はそこまで意識していなかったけど、(ファンからの大きな拍手は)凄くうれしかったです」

 自身が所属する根本康広厩舎のベルクカッツェでの通算31勝目に、菜七子は満足そうに汗を拭った。理想通りのレース運び。中団外めで脚をため、直線に入るとメンバー上がり最速36秒4の末脚で一気に抜け出した。

 前日に続く勝利で、JRA所属の女性騎手として史上初となるG1騎乗への切符を獲得。デビュー3年目、見習騎手期間中に権利を得たのも女性騎手史上初のことだ。「父の日」に“愛娘”から記念すべき白星を贈られた根本師は「うまく自分のペースを守って乗れていた。(3番)人気を背負って勝つのは、乗り役にとってはプレッシャーになる。気持ちの部分でも着実に成長しているね」と笑顔で評した。

 これで夢も夢ではなくなる。菜七子が日本ダービーを初めて生観戦したのが競馬学校に入学したばかり、自身15歳だった13年。武豊の好騎乗もあってキズナが勝利した。ファン目線で見つめた菜七子は「凄かったですね。やはり、ダービーの雰囲気は特別。ダービーに乗せてもらえる騎手になって、そしてダービーで勝てるジョッキーになりたい」と話した。

 「いつか自分も」との思いを強くしたあの日から5年…。少女の無邪気な憧れは「目標」に変わった。同時に、武豊ら男性トップジョッキーとしのぎを削る厳しい世界の中で、人馬共にG1舞台にたどり着くことの大変さを理解したからこそ、軽々しく「乗りたい」とは言えなくなった。

 「そんなに甘い世界ではない。自分はまだまだ技術も体力も足りていない部分がある。これからもっと上げていきたい」

 カメラマンから求められた31勝のポーズはやんわりと拒否し、すっかり勝負師の顔になった20歳。日々精進――。今日ここから、夢の成就に向け、新たなスタートを切る。

 ◇藤田 菜七子(ふじた・ななこ)1997年(平9)8月9日生まれ、茨城県出身の20歳。16年3月5日、美浦・根本厩舎からJRAデビュー。同年4月10日の、福島9Rサニーデイズで初勝利(51戦目)。JRA通算922戦29勝(17日現在)。1メートル57、45キロ。血液型A。趣味は寝ること、読書。愛読書は伊坂幸太郎の「マリアビートル」。好きな歌手は、One Direction(ワン・ダイレクション)、俳優は三浦春馬。

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