【安田記念】リチャード、二刀流の切れ味!馬なり11秒8

[ 2018年5月31日 05:30 ]

ミルコ・デムーロ騎手を背にCWで単走で追い切りするスワーヴリチャード
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 東京5週連続G1のラストを飾るマイル王決定戦「第68回安田記念」(6月3日、東京)の出走各馬が30日、栗東、美浦トレセンで最終追い切りを行った。中距離とマイルの“G1・2階級制覇”を目指すスワーヴリチャードは、ミルコ・デムーロ(39)を背にCWコースで猛時計。馬なりで出来の良さをアピールした。前走の大阪杯で苦手な右回りを克服しG1初制覇。得意の府中で偉業達成を目指す。

 新時代の到来を予感させる迫力満点の最終リハだった。スワーヴリチャードは主戦のM・デムーロを背にCWコース単走。「最後の反応だけを確かめてほしい」(庄野師)。いつも通りのオーダーのもと、ゆっくりキャンターへ。向正面でも、馬の首は一度も上がることなく人馬の呼吸はピタリ。鞍上は拳ひとつ分だけ手綱を緩めてゴール。馬なりで6F77秒2(ラスト1F11秒8)の猛時計をマークした。数字だけ見ればオーバーワーク!?それでも名手の言葉が不安をかき消した。

 「最高、バッチリだよ。全く無理をしてないし、馬が凄く気持ち良さそうに走っていた。動きも軟らかくて落ち着いている。素晴らしいね」

 これまで直線で左手前に替えなかったり“粗削り”な面を見せていたが、前走の大阪杯を快勝。苦手な右回りを克服してG1初タイトルを手にした。「体が充実して走りのフォームも良くなってきた」と庄野師。3歳時は能力に体が追いつかず直線でヨレたり力を発揮できなかったが、4歳を迎えて後肢がパンプアップ。首を沈ませた推進力のある走りを身に付けた。普段の稽古役で担当の久保淳助手が成長を口にする。

 「以前はフラついたりしたけど、今は低い重心で走れている。普段はノーマルハミで乗れるぐらい操縦性が高くなった」

 陣営は適性を見極めた上で、初のマイルG1を選択。「いろいろな可能性を秘めている。府中の長い直線はピッタリ。これまでもリンクした馬は多いからね」と庄野師。同じハーツクライ産駒のジャスタウェイは13年の天皇賞・秋を制し、翌年にこのレースをV。15年の安田記念覇者モーリスは、翌年の天皇賞・秋→香港C2連勝と、1600メートルから2000メートルに距離を延ばし世界の頂点を極めた。M・デムーロも適性を示唆する。

 「大阪杯のようにスタミナはあるし、金鯱賞もいい瞬発力。どんな競馬もできる。マイルは問題ないよ」

 今年2戦はともに不利な外枠。それでも能力で消し去ったポテンシャルは名馬の資質を兼ね備えている。競馬界の二刀流リチャード。大谷ばりのスピードで府中を駆け抜けてみせる。

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2018年5月31日のニュース