【安田記念】キャンベル100点!映える左肩に「C」の刻印

[ 2018年5月29日 05:30 ]

左肩に「C」の刻印がされているキャンベルジュニア。表情からも精神面の充実がよく分かる(撮影・村上 大輔)
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 左肩に浮かぶのはチャンピオンの証!?鈴木康弘元調教師がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第68回安田記念(6月3日、東京)ではキャンベルジュニアに唯一満点をつけた。達眼が捉えたのはマイルのチャンピオンにふさわしい圧倒的なボディーだ。

 キャンベルジュニアの左肩にはアルファベットの「C」が刻印されています。その「C」の意味するものは…。米国の有名なファッションブランド、Champion(チャンピオン)のロゴマークなのか。それとも、Chicken(弱虫)ような気性を表す略語なのか。謎めいた暗号にも見えますが、実は個体を識別するための烙(らく)印です。この馬が生まれたオーストラリアでは生後すぐに右肩に出生番号など、左肩には生産牧場のブランドマークが刻印される。ハイセイコーの時代(70年代前半)は日本でも後肢に焼き印を押していましたが、豪州では痛がらないようにドライアイスなどを使った皮膚の凍結で白色毛を再生させる凍結烙印が採用されているそうです。

 ただし、今のキャンベルジュニアなら肩の烙印などなくても体つきで識別できる。全身が物凄いボリューム。首が野太くて、胸前は岩のように分厚い。トモ(後肢)も筋肉でせり上がってます。下半身に目を移せば、膝や飛節も大きくて立派。上半身のあふれるパワーを余さず受け止められる強じんな下半身です。顔を見れば顎っぱりも凄い。大食漢なのでしょう。モリモリ食べたカイバが全て身になっている。そんな馬体です。

 立ち方も素晴らしい。四肢をしっかり大地に着けて、穏やかな顔をカメラマンに向けています。実にいい表情です。精神面でも充実しているのでしょう。近走は惜敗続きですが、パワーで押しまくる一流マイラーの馬体に加えてこの顔つきなら…。肩に刻印された「C」とは、Championの頭文字を意味しているのかもしれません。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の74歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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