【ヴィクトリアM】玲奈スマイル再び ドンキで最高の親孝行を

[ 2018年5月11日 05:30 ]

レッツゴードンキと前原玲奈助手
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 【競馬人生劇場・平松さとし】藤田菜七子が活躍しているが、JRAには過去にも数人の女性騎手がいた。00年にデビューした西原玲奈もそんな一人だ。父が見ていた競馬に興味を持ち、騎手を目指した。

 「母は心配そうでしたけど、反対はせず見守ってくれました」

 デビューした3月にすぐ初勝利を挙げると最初の2年で15勝。まずまずといえるスタートを切った。「数もたくさん乗せていただき、楽しかったです」。ところが3年目にケガをして乗り数が減った。そして、自ら障害レースに希望を求めた。「この時も母は黙って見守ってくれました」。しかし、障害飛越の際に落馬。腰椎圧迫骨折のほか、腓骨(ひこつ)や脛骨(けいこつ)も骨折する重傷を負った。

 障害騎手なら誰もが経験する大ケガでも「入院先に見舞いに来た母にまだ騎手を続けたい意志を告げると“あなたがやりたいなら…”と言ってくれました」と騎手を諦めるつもりは全くなかった。だが1年後に復帰したものの減量もなくなり、思うように乗り鞍を見つけることはできなかった。10年にはついに引退。梅田智厩舎で調教助手となった。

 そこで出合ったのがショウナンマイティだった。「素晴らしい馬だったけど気性が激しく、脚元にも不安がありました。私がもっとうまければG1を勝たせてあげることができたと思います」と当時を振り返る。しかし、その経験はその後に生きた。15年にはレッツゴードンキで桜花賞を優勝。騎手時代から夢見たG1をついに制覇した。

 現在は結婚し姓が前原に変わった。少しでも親孝行できれば、と両親を故郷の九州から栗東に呼び寄せた。前原助手が担当するレッツゴードンキは、日曜(13日)のヴィクトリアマイルで3年ぶりの頂点を目指す。玲奈スマイルが口取りに加わる瞬間が、今から楽しみだ。

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2018年5月11日のニュース