【天皇賞・春】レインボー ド根性初G1!10度目挑戦で悲願

[ 2018年4月30日 05:30 ]

天皇賞・春を制したレインボーライン(12)=代表撮影
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 ド根性のG1初制覇だ。大接戦となった「第157回天皇賞・春」は2番人気のレインボーラインがゴール寸前、馬群をさばいて差し切りV。しかし直後に鞍上が下馬して馬運車で引き揚げるアクシデント。右前肢ハ行と診断された。30日にも栗東トレセンで再検査を受ける。10回目のG1挑戦で栄冠を手にしたが、今後の動向が気に掛かる。首差2着に1番人気シュヴァルグラン、3着にはクリンチャーが入った。

 3年ぶりのG1タイトル。10年ぶりの春の盾。しかし岩田に笑顔はなかった。レインボーラインが先頭でゴールを駆け抜けた直後、2コーナーで鞍上が下馬。ウイニングランもできず愛馬は馬運車に乗せられ、京都競馬場の診療所へ。検量室前に戻ってきたのは、岩田だけだった。

 「ゴールを過ぎて、つんのめる感じに…。歩様がおかしかったので、下馬した。久しぶりにG1を勝ててうれしいが、レインボーラインが心配で複雑です」

 レース運びは完璧だった。スタートして馬群が縦長になったところで、内ラチ沿いに誘導。ロスなく立ち回った。逃げたヤマカツライデンのペースが向正面で緩むと、中団からサトノクロニクルが動き、他馬も進出を開始。それでも、レインボーラインは焦らず我慢。「直線はいい脚を使ってくれると思っていたし、我慢できるところまで我慢しようと思った」と、勝負どころの攻防を振り返った。

 直線は先頭に立った1番人気シュヴァルグランの背後から差を詰め、G1馬の内から馬体を併せた。「内も外もスペースはあったが思い切って内に行った。ゴールまでが長くて、頭の中は真っ白でした」。鞍上の代名詞ともいえる「必殺のイン差し」で見事、差し切った。

 昨年の宝塚記念から6戦連続のコンビ。レインボーにとっては、G1・10度目の挑戦で悲願のタイトルとなった。鞍上は「昨年と比べて、体はひと回り大きくなり成長を感じる。小さい馬ですけど距離もこなすし、ちゃんと走ってくれる。真面目な馬です」と最敬礼。

 レース後のヒーローインタビューで、「本当に心配で…。すぐ厩舎に見に行きたい。心配の方が凄くて、涙も出ません」と気が気でない様子。レース後のパートナーの状況について「歩かせたら歩様はマシになった。大きなケガではないと思うが…」と語った。

 数時間後、発表された診断は右前肢ハ行。表彰式を終えて診療所に向かった浅見師は「着順は最高でしたが、馬の状況が状況なので心苦しい」とコメント。98年メジロブライト以来となる20年ぶり2度目の天皇賞・春制覇にも表情はこわばったまま。

 今後は栗東トレセンに戻り、30日に詳しい検査を受ける予定。指揮官は「次に向けて何とかケアしてあげたいと思います」と気を引き締めた。岩田も「無事にターフに戻ってきてほしい」とコンビ継続を待ち望む。アクシデントはあったが、ポスト・キタサンブラックとして名乗りを上げる力強い走り。再びG1舞台に戻ってきた時は、皆が笑顔で迎えられる勝利になるはずだ。

 ◆レインボーライン 父ステイゴールド 母レーゲンボーゲン(母の父フレンチデピュティ)牡5歳 栗東・浅見厩舎所属 馬主・三田昌宏氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦歴22戦5勝 総獲得賞金4億5046万6000円。

 ▼ハ行 歩様に異常をきたしている状態。原因には骨、腱、関節、筋肉、神経などの異常が考えられる。

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