【ドバイWC】武豊の“つまずいた経験”は必ず生きる

[ 2018年3月30日 05:30 ]

16年のUAEダービーを制したラニと鞍上の武豊
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 【競馬人生劇場・平松さとし】現在、ドバイでこの原稿を書いている。今週末に行われるドバイワールドカップデーを取材するため、中東にいる。3月にここで過ごすのは何回目だろう。ワールドCが今年で23回目。現地で見ていないのは数回だから20回近くは暑い3月を過ごしていることになる。当然、思い出もたくさんある。最近では一昨年のラニが印象深い。

 UAEダービーを制した同馬はレース後、直接米国入り。ケンタッキーダービーに挑戦すると、その後もかの地に残り、プリークネスS、ベルモントSと米国の3冠競走を完走。最後の1冠では僅差の3着に好走してみせた。

 当然、私もその度に現地へ飛び観戦。他馬を見ると襲い掛かろうとするなど、ラニの性格は非常に難しく、丸内助手や松永幹師をはじめ関係者は手を焼いていた。それでもこれだけの成績を残したのだから、彼らの努力のほどがうかがえたものだ。

 そんなラニではあるが、もしかしたら最大のピンチはUAEダービーにあったのかもしれない。このレースでラニはあろうことかスタートで大きくつまずいてしまったのである。しかし、これを冷静に対処したのが武豊だった。「ドバイだとスタート後につまずくことがよくあるから想定していました」と慌てず対応。勝利へ導いてみせた。

 思えば12年に武豊が乗ってドバイワールドCに出走したスマートファルコンも同様につまずいていた。当時はオールウエザー馬場とはいえ、この経験を次に生かせたことで、彼は米3冠への切符を手に入れたのだった。今年はラニの兄アウォーディーで2年連続のワールドC挑戦。過去の経験はここにも生きることだろう。

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2018年3月30日のニュース