【高松宮記念】ファイン重厚100点!5歳驚異の成長力

[ 2018年3月20日 05:30 ]

昨秋のリクエスト通りに大変身を遂げたファインニードル
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 2強の尾張決戦だ。鈴木康弘元調教師がG1有力馬の馬体を診断する「達眼」。第48回高松宮記念(25日、中京)ではファインニードル、レッドファルクスに100点満点を付けた。中でも達眼が捉えたのはファインニードルの成長力。昨秋のリクエスト通りに大変身を遂げた。

 昭和の中央競馬には奇妙なニックネームを持つ馬がいました。“新聞を読む馬”といえば、67年秋の天皇賞、有馬記念を制したカブトシロー。人気になると凡走し、人気が落ちた途端に穴をあけたクセ馬です。へそ曲がりだから馬房の前で厩務員さんが開いた競馬新聞をこっそり盗み読みして、人気に逆らう走りをする…。そんな噂も立ったとか。今となっては真偽を確かめようもありませんが、高松宮記念のファインニードルは間違いなく“新聞を読む馬”です。

 前回のG1(17年スプリンターズS)の馬体診断で私は素質を評価する半面、2つの注文を付けました。「あとは立派な前肢に後肢が追い付いてくれば理想的。口を開きながら立っているが、ハミをしっかり取ってほしい」と。それから半年、当時の記事を読んでいたかのように注文に応えてくれたのです。後肢には重厚な筋肉を付け、立派な前肢に追い付いている。前走・シルクロードSでは馬体重18キロ増。後肢の筋肉の増量分と考えていいでしょう。立ち姿を見れば、口をしっかり閉じてハミを取っています。もう一つの注文にも応えてくれました。

 後肢の筋力と集中力のアップ。注文通りに変化したのは5歳の成長力です。顎っぱりがとても良く、食欲旺盛なのでしょう。四肢の腱にも狂いがなく、加減せずに調教できるのでしょう。こういう馬は期待通りに成長するものです。

 G1初挑戦となった昨年のスプリンターズSにしても歴戦のG1馬と比べて遜色ありませんでした。飛び抜けて発達したキ甲(首と背中の間の膨らみ)、短くて太い首、立派な前駆…。ひと目で一流スプリンターだと思わせる馬体でした。そこに新たな成長も加わったのです。現代版「新聞を読む馬」が穴をあけるか。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の73歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

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