【ホープフルS】フライヤー 初代王者!時空超えた末脚サク裂

[ 2017年12月29日 05:30 ]

タイムフライヤーでホープフルステークスを制したCデムーロは投げキッスでファンの声援に応える
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 今年からG1に昇格した「第34回ホープフルS」が28日、中山競馬場で行われ、1番人気タイムフライヤーが快勝。鞍上のクリスチャン・デムーロ(25)は、13年桜花賞(アユサン)以来となるJRAのG1・2勝目。今年は兄ミルコがG1・6勝と大活躍したが、今年最後のG1は弟が締めくくった。兄が騎乗したルーカスは6着に敗れ、年間G1・7勝の新記録達成はならなかった。

 「時空を超える末脚」で、タイムフライヤーが中山の急坂を駆け上がった。スタート直後の加速が鈍く、1角の入りが後方から2番手。先行抜け出しで結果を出してきたフライヤーには絶望的な位置取りにも見えたが、鞍上のクリスチャン・デムーロに焦りはなかった。「前で運ぼうと思ったが、すぐに切り替えて脚をためる形にした。ペースも速かったからね」。向正面まで我慢して、すぐ前を走るジャンダルムを目標に、3角から進出開始。「手応えはずっと良かったから、スペースが空くかどうかだけ。ユタカさんの馬について行けば詰まることはないと思って待っていた」。ライバルの能力も把握した上での好判断。直線は読み通り、ジャンダルムが抜け出したタイミングで大外に持ち出すと、温存していた末脚を一気に爆発させて差し切った。

 阪神競馬場で見守った松田師は「後ろからの競馬で、どうなるかと…。3、4角も外に出す余地がなかったが、外の馬を利用して膨れずうまくコーナーを回った。小技に見えるけど実際は大技。馬とケンカせず、本当にうまく乗ってくれた」と、まずは好騎乗を絶賛。続けて「オーナーサイドに無理を言って使ったので、結果を出せてよかった」と息をついた。優勝がG1挑戦の条件だった京都2歳Sで2着敗戦。それでも皐月賞の舞台を経験させたい。坂路2本追いを重ねて鍛え上げ“泣きの一戦”を見事にものにした。3度目の騎乗だったクリスチャンにとっても、前走は悔いが残る一戦。「抜け出しが早く、勝ち馬のいい目標にされた。僕のミス」。会心の騎乗で借りを返し、心のつかえも取れた。

 来春の目標はもちろんクラシック。松田師は「年明けに山元トレセン(宮城県)に放牧に出して、皐月賞、ダービーを目指します」ときっぱり。大仕事を終え、短期免許満了で帰国するクリスチャンも「来年も日本に来たい。もし機会があれば、もちろん乗せてほしい。まだ幼い馬だからさらに成長する。来年が楽しみだよ」と、大舞台での再会を熱望した。初代王者の視線の先に、はっきりと見えた桜舞う中山、新緑の府中。ダービー2勝の名トレーナーの下で鍛錬を積めば、夢はどんどん現実に近づくはず。時空を超え、来春へ、その先へ。年の瀬の中山に誕生した、希望に満ちあふれたスター候補。その名は、タイムフライヤー。

 ◆タイムフライヤー 父ハーツクライ 母タイムトラベリング(母の父ブライアンズタイム)牡2歳 栗東・松田厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道白老町の社台コーポレーション白老ファーム 戦績5戦3勝 総獲得賞金1億825万9000円。

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