【有馬記念】サブちゃん万感 3度目の正直 涙…放心状態

[ 2017年12月25日 05:30 ]

まつりを熱唱する北島三郎オーナー(中央)、武豊
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 「第62回有馬記念」で大団円を果たしたキタサンブラックの馬主で歌手の北島三郎(81)は、中山競馬場で有終の美を見届け「子供と別れるつらさだが、感謝しかない」と惜別の涙を流した。「お別れセレモニー」では、この日のために作った曲「ありがとうキタサンブラック」をターフビジョンで放映。大観衆の求めに応じて、公約通り名曲「まつり」を熱唱。「こんな感動する日がまさか81歳でくるとは」と声を震わせた。

 「ブラック、行け、行け!」。北島はスタンドで叫んだ。3角を曲がるころには思わず涙がこぼれた。愛馬が先頭でゴールを駆け抜けた瞬間、「信じられない」という表情で、放心状態で天を仰いだ。

 2度阻まれた有馬の頂点を、最後の挑戦でついに手中に。悲願かなった口取りでは、激戦を終えた愛馬の鼻先を4度ほど撫でてねぎらった。「サブちゃんおめでとう!」の歓声に両手を掲げて「ありがとう!」と精いっぱい声を張り上げた。

 その後の引退セレモニーでは「これ以上話すと泣きたくなっちゃいます」と感動を抑えきれない様子。「ブラックありがとう!それしかありません」と話すと、この日のために作った曲「ありがとうキタサンブラック」を場内に流し、満員のファンにお披露目した。

 ♪俺の大事な宝物 さらばブラック ありがとう――。馬主歴50年目となるが「自分の歌で馬を送るとは。歌手でよかった」と感慨を口にした。

 続けて「このまま引っ込んでいっちゃあ、申し訳ない…」と口にすると、スタンドからこの日一番のボリュームで“まつりコール”が。北島の「みんな合体して歌いましょう!」の呼び掛けに呼応し♪まぁーーつりだ、まつりだ、まつりだ キタサン祭り 俺もドンとまた頑張るぜ これが有馬の まつりだよ――と歌声が響いた。昨年も歌ったが結果は2着。待ちに待った凱歌となった。

 レース前から「無事に帰ってきてくれれば何着でもいい」と公言していたが「できれば1着がいいな」と淡い期待を語っていた。関係者によると「レースが近づくにつれ、日に日に無口になっていった」。競馬場での昼食は、長年愛用している東京・新宿の「とんかつ にいむら」が特別に作って差し入れた、黒豚のカツが主菜の「ブラック勝つ弁当」に舌鼓を打った。金粉がまぶされ、カツの断面には「勝」の焼き印。願いは届いた。「クリスマスイブに、最高のプレゼントになりました!」と喜んだ。

 今後は種牡馬に転身する愛馬に「別れはとてもつらいんですが、終わりと同時に始まりの日」とエール。「何年か後には、ブラックの子供たちが元気にターフを走っている姿を見ていたい」。サブちゃんとブラックの物語は、第2章に入ったばかりだ。

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2017年12月25日のニュース