【キタサンブラックと私】調教パートナー黒岩 覚醒しても時計は当てにならず

[ 2017年12月24日 10:00 ]

デビューからキタサンブラックの調教に携わり成長を見守ってきた黒岩騎手
Photo By スポニチ

 確信を持ったのは3歳の秋だった。黒岩はデビュー当初からキタサンブラックの調教に携わってきた。3連勝でスプリングSを勝った時でさえ「まだ発展途上って感じはしていました」と振り返る。ダービー14着から休養を挟み、セントライト記念で秋初戦を迎えることになった。

 「帰厩して最初の坂路での追い切りが(4F)56秒台しか出なかったんですよ。先生にも“一回叩いてからかもしれない”って言いました。そうしたら勝ちましたからね。この時期、一番変わったんだと思います」

 その後に菊花賞を制し、名馬への道をひた走ることになる。デビューした頃は体が大きい割に緩い印象を抱いていた。それが「筋肉もついて、ビシッと締まってきました」と話す。そんなキタサンブラックの調教に騎乗する時、気を付けていることはあるのだろうか。

 「素直で手がかからないですからね。時計を出そうとすれば出せるけど、抜け出すとソラを使う部分もある。むちゃくちゃ切れるわけでもない。調教時計などを参考にして予想する人には、評価が難しかったのかもしれません」

 調教で“超抜”というフレーズをもらうことは確かに少なかったが、それでも本番では圧倒的なパフォーマンスで魅了した。一連を振り返り「トビが大きくて叩きつける感じだったのが、洗練されてきたのかな」と話す。残りは1走。「馬が凄い。僕は先生の指示通りに乗ってきただけ」。最後の大一番でも、冷静にいつも通りの調教をつけた。それが黒岩の役割だからだ。=終わり=

 ◆黒岩 悠(くろいわ・ゆう)1983年(昭58)10月26日生まれ。高知県出身の34歳。02年騎手デビュー。JRA通算1368戦52勝。キタサンブラックとの出合いに「これから他の馬に乗った時の物差しにもなる。歴史的名馬の乗り味を知ることができたのは財産」と話す。

続きを表示

2017年12月24日のニュース