【有馬記念】65年「シンザンが消えた!」外の外から強襲V

[ 2017年12月18日 05:30 ]

シンザンは有馬記念を制し、史上初の5冠を達成
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 【「有終の美 優駿の美」】引退戦キタサンブラックに注目が集まる今年の有馬記念。有終の美を飾った名馬たちを「有終の美 優駿の美」として連載で紹介する。65年有馬記念で史上初の5冠馬となったシンザン。東京五輪の64年に戦後初の3冠馬となった日本競馬史上最大の功労馬は、最後も圧巻の強さを見せつけた。

 いざなぎ景気に沸き、プロ野球第1回ドラフト会議が始まった65年有馬記念。戦後初の3冠馬となったシンザンは引退戦を迎えた。

 中山で使ったことがないため、有馬8日前の12月18日のオープンを使い、連闘の異例ローテ。しかもそのオープンで無名のクリデイに屈して2着に敗れたが、単勝1・1倍の断然人気を集めた。レースは「打倒シンザン」に燃える東の名手・加賀武見の“秘策”で名勝負に。当日の中山の馬場は内が荒れていた。大逃げから勝負どころで後続を引き付けた加賀ミハルカスは最終4コーナーで内を避け、異常なまでの膨らみ方で外に持ち出す。無論、直後にシンザンがいるのを察知した上でのコース取りだ。しかし、シンザン初騎乗の松本善登は慌てなかった。なんと、ミハルカスのさらに外に、外ラチ沿いにシンザンを持ち出したのだ。

 騒然とするスタンド。

 「シンザンが消えた!!」

 テレビカメラからもファンの視界からも一瞬見えなくなった。しかし、再び姿を現すとねじ伏せるように抜けた。愛馬を信じた松本の信念の勝利。史上初の5冠馬が誕生した。翌66年1月、東京競馬場と京都競馬場で引退式を行い、種牡馬入り。「シンザンを超えろ」は長らく日本のホースマンのスローガンになった。

 ◆シンザン 父ヒンドスタン 母ハヤノボリ(母の父ハヤタケ)京都・武田文吾厩舎所属 馬主・橋元幸吉氏 生産者・北海道浦河町松橋吉松氏 戦績19戦15勝 総獲得賞金6021万9700円。

 ▼65年の世相 いざなぎ景気。3C時代(車、カラーテレビ、クーラー)。国鉄「みどりの窓口」開設。富士山レーダー観測開始。

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2017年12月18日のニュース