【有馬記念1週前追い】ブラック、ラストランVへ6F78秒6

[ 2017年12月14日 05:30 ]

CWコース併せ馬で一杯に追い切られたキタサンブラック(右)
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 有馬記念の大本命馬だけに、1週前追い切りからドラマチックさが凝縮していた。異様なまでの空気感を演出するのは、キタサンブラックを追うカメラと記者の数だけが理由ではないだろう。追い切る前に武豊が「今日はどれくらい?」と聞くと「結構やりますよ」と清水久師は返答。この短いやりとりだけで、猛烈スパーになると察知できた。レースで手綱を取る武豊も、スタンド1階の最前列に陣取って見守った。

 CWコースで、アキトクレッセント(5歳オープン)が先行して、3馬身ほど後ろからブラックが追走する形。一般的には騎手が調教に目を凝らすのは異例だが、武豊は腕組みしながら「相手は攻め駆けするし、あんまり離すとアオられるけどね」「えっ、これは速いわ」と“解説”しながら、感嘆の声を上げた。

 ハイライトはゴール前の攻防だった。ブラックが外から抜きにいくと併走馬も抵抗。闘志を燃やし合った結果が同時入線のフィニッシュとなった。タイムは驚がくの6F78秒6!ラストの12秒2は全体時計を考えればこれもまた凄い。

 いっぱいにやれ!と、指示を与えた指揮官までが「(鞍上の)黒岩がこんなにゴール前で手を動かしたのは初めて見たよ」と感心。「追い切りもあと2回だけ(土曜と来週水曜)か。どれくらいやればいいかは様子を見て決める」と続けた。猛時計しかり、気を抜かせまいと手綱をしごいたことしかり。1週前追いは文字通り最大級の負荷をかけたメニューとなったが、ブラックはケロリと消化してみせた。

 武豊は自身の有馬記念の戦歴と今回置かれた立場を理解し、こう意気込む。

 「有馬記念は今まで2着が山盛り(8回)なんよ。でも2勝はオグリキャップ(90年)とディープインパクト(06年)で、どちらも引退レース。キタサンのラストランも飾りたいよね」

 あえて共通のキーワードに照らし合わせたラストランV。刻一刻とその瞬間は近づいている。

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2017年12月14日のニュース