【ジャパンC】シュヴァル悲願V!名手ボウマンが“世界一”に

[ 2017年11月27日 05:30 ]

<ジャパンC>レースを制したシュヴァルグラン(手前)のボウマンはOKポーズ。手前右は3着・キタサンブラック
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 競馬の祭典「第37回ジャパンC」が26日、東京競馬場で行われ、4番手追走の5番人気シュヴァルグランが力強く伸び、悲願のG1制覇。横浜や大リーグで“大魔神”と呼ばれた佐々木主浩オーナーが所有する姉ヴィルシーナ、妹ヴィブロスに続き“3きょうだい”がG1制覇を飾った。初コンビの豪州の名手ヒュー・ボウマン(37)もJRA・G1初勝利。史上最多タイのJRA・G1・7勝目に挑んだ前年覇者キタサンブラックは逃げたが3着に終わった。

 鮮烈な主役交代劇。豪州の名手ボウマンを背にシュヴァルグランがついにG1をつかんだ。標的は逃げるキタサンブラック1頭。4番手インで息を潜め、馬群を一瞬でさばく。残り1Fすぎで近づくと、体を並べず離して抜き去った。1馬身1/4差の完勝。G1挑戦7度目で悲願成就だ。

 「さすがは世界No・1ジョッキーです」。佐々木主浩オーナーの心からの祝福に、馬上でゴール後に“OKポーズ”を見せたボウマンは夢心地でお立ち台に立った。「ベリーストロング!!信じられないです。ジャパンCは世界で最もリスペクトされる大レース。乗れるだけでも名誉なのに…。勝てるなんて」

 運を味方にした。当初選択権があったM・デムーロがサトノクラウンを選んだため、巡ってきた依頼。週中22日の追い切りで初めて乗り、午後は友道師とレースVTRで研究。「状態は素晴らしい。枠だけだ」

 翌23日に最内1番枠に決定。この日再会した2人は「(1番枠で)ラッキー」と声をそろえた。大外17番枠に泣いた昨年(3着)とは一転の絶好枠。鞍上は「最内はうれしかった。人気のキタサンブラックもすぐ近く。目標にしやすい。簡単にかわせないと思ったけど、一歩一歩詰めてかわしてくれた」と最敬礼した。

 友道師にとっても夢の瞬間だ。母ハルーワスウィートは02年開業時、初めての預託馬で現役時5勝。その母から生まれた同じ佐々木オーナーが所有する姉ヴィルシーナ、妹ヴィブロスがG1を制した。これで“3きょうだい”がそろってG1制覇の快挙。指揮官は「うちの厩舎があるのはハルーワスウィートのおかげ。(佐々木)オーナーはこれまで牡馬でG1を勝ってなかったので、勝ちたかった。感謝の気持ちでいっぱいです」と胸を詰まらせた。

 自信もあった。春の疲れが尾を引いた昨秋と違い、青写真通りに京都大賞典(3着)から十分間隔を取って本番へ。「今年は体はシェイプアップされた。乗り方?作戦通り。3〜4番手ぐらい。指示通りに乗ってくれた」と名手を称えた。

 鞍上ボウマンは対象G1全100戦の最終戦だったジャパンCを制し、今年のロンジンワールドベストジョッキーが決定。現在22連勝中(G1・15勝)の名牝ウィンクスの主戦でもある名手は「騎手を20年近くやって、間違いなくハイライトシーズン」と感慨に浸り、引き続きタッグを組む有馬記念を見据えた。「距離も合うと思う。自信を持って乗りたい」。同期ブラックとの再戦。どんな名勝負が待っているのか。

 ◆シュヴァルグラン 父ハーツクライ 母ハルーワスウィート(母の父マキアヴェリアン)牡5歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・佐々木主浩氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績22戦7勝 総獲得賞金7億3371万7000円。

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