柔軟発想が生んだ栗山監督&大谷の成功 メジャーでも常識打ち破れ

[ 2017年11月19日 11:00 ]

入団会見で栗山監督(右)にユニホームを着させてもらう大谷
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 一瞬で30年前の記憶がよみがえった。今月1日から10日まで沖縄県国頭村で行われた日本ハムの秋季キャンプ。ある日の練習後、チーム宿舎までの道のりを歩いていた栗山監督が「バントでホームランを打てればそれが一番確率が高い。大きくバックスイングを取るからスイングにぶれが出る。だからバントで一発を打てないかなって本気で考え込んだりするんだよね」と真面目に語った。

 少しでも野球を経験した人間であれば常識的に考えて「不可能に近い」ということが分かると思う。ただ「“常識だから”で片付けていたら成長はない」が持論の栗山監督は、本気で実現する方法を考える。それが柔軟な発想と大胆な采配にもつながっていると思う。

 40歳の記者が10歳だった1987年。ファミリーコンピュータ用のゲームソフト「燃えろ!!プロ野球」が発売された。従来のソフトは捕手方向のアングルだったが、テレビ中継のようにセンター方向からのアングルで話題を呼び、記者は親にねだって発売と同時に購入した。そのソフトが広く認知されるキッカケになったのが「バントホームラン」。各チームに一人ずつ規格外の能力を持つ野手がおり、バントの構えでもボールをミートすればあっという間に打球がフェンスを越えた。記者は「こんなことありえない」で片付けたが、栗山監督だったら本気で実現させる方法を考えて練習したかもしれない。

 今月11日、不可能だと思われた二刀流を成功させた大谷翔平がメジャー移籍を目指すことを正式に表明した。常識にとらわれない栗山監督と大谷だからこそ、険しい道のりを「二人三脚」で歩めたのだろう。まだまだ夢の途中。次は米球界の常識を打ち破ってほしい。(記者コラム・山田忠範)

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