【菊花賞】キセキが最終1冠 遅れてきた大器、雨の消耗戦制す

[ 2017年10月23日 05:30 ]

キセキ騎乗のデムーロ騎手は菊花賞を制し雄たけびをあげる
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 大雨の乱菊、遅れてきた大器がラスト1冠を制す――牡馬クラシック最終戦「第78回菊花賞」が22日、台風が接近する京都競馬場で行われ、1番人気キセキがG1初勝利を飾った。不良馬場で勝ちタイムはレース史上(グレード制導入後)最も遅い3分18秒9と、まれに見る消耗戦となった。鞍上のM・デムーロは菊花賞初Vで牡馬クラシック完全制覇。2着に10番人気クリンチャー、3着に13番人気ポポカテペトルが入り、3連単55万9700円はレース史上最高配当となった。

 大雨の中に虹を描いた。ビクトリーロードは大外。キセキが4角7番手から一気に差し切った。鞍上のM・デムーロは菊花賞初V。牡馬クラシック完全制覇に笑みがこぼれた。

 台風21号接近で、京都は朝から激しい雨。10Rの芝1200メートル戦、ミルコはグレイトチャーターをうまく外へ誘導し、大外から届かせた。すでに馬場状態を完全に掌握していた。

 「今日の馬場はヨーロッパでもなかなかない。距離は不安だったけど賢い。折り合いが大事。人気していた馬(ミッキースワロー)を見ながらいきました」

 道中は後方5番手の位置取り。勝負どころで徐々にポジションを上げた。この馬場についても「スタートから走り方は悪くなかった。一生懸命走っていました」と振り返った。

 角居厩舎にとっては04年デルタブルース、13年エピファネイアに続く菊花賞3勝目。キセキは毎日杯3着の後、春は休養に充てた。夏の中京で復帰すると新潟で連勝。前走の神戸新聞杯は2着も、一線級相手に結果を出した。トレーナーが成長を振り返る。

 「デビュー戦を見て、結構いいところにいくかなと思った。ただ、背腰の弱い部分があった。そこがなくなって、我慢が利くようになりましたね」

 春の牡馬クラシック不出走馬のVは14年トーホウジャッカル以来3年ぶり。父ルーラーシップも角居厩舎の管理馬。クイーンエリザベス2世Cで海外G1を制するなど活躍した。その子供でのG1勝ちに感慨もひとしおだ。

 「評判の高いお父さんで、その子で答えを出せた。国内G1を勝てた。ルーラーシップに感謝したい」

 重い馬場を克服したことで海外遠征にも話題が及んだ。トレーナーは「これで大きいレースを使っていける。今後はオーナーと相談して考えていきたい」と語った。鞍上は「(この馬場で勝ったので)ヨーロッパでもいいと思う」と太鼓判を押した。

 3文字馬名で菊花賞を制したのは史上初。いずれは海の向こうで“KISEKI”の勇躍を期待したい。大雨の淀をステップに大きく羽ばたいていく。

 ◆キセキ 父ルーラーシップ 母ブリッツフィナーレ(母の父ディープインパクト)牡3歳 栗東・角居厩舎所属 馬主・石川達絵氏 生産者・北海道日高町下河辺牧場 戦績8戦4勝 総獲得賞金2億1315万9000円。

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