【オールカマー】タンタ「8割」も秋へ“虎視眈々”12秒6

[ 2017年9月21日 05:30 ]

秋G1へ向け虎視眈々(たんたん)。蛯名を背に3頭併せで追い切るタンタアレグリア(右)
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 ここが秋への試金石。古馬G2「第63回オールカマー」(1着馬に天皇賞・秋優先出走権)の最終追いが20日、東西トレセンで行われた。1月AJC杯(1着)以来の実戦となるタンタアレグリアは、美浦Wコースで鋭い末脚を披露。陣営は「8割の出来」との見立てだが、秋G1制覇には格好をつけたい戦いになる。

 タンタアレグリアの調教を終えた国枝師と蛯名が示し合わせたように同じ数字を口にした。「8割だね」。ここは約8カ月の休養明け。ベテランコンビは大げさに愛馬のコンディションを伝えることはなかった。

 最終追いはWコース。先導するダイワメモリー(2歳新馬)とサトノルーラー(3歳500万)の6馬身後ろからスタートした。折り合いつつ脚を温存し、4角すぎでグイッと外へ。蛯名の鼓舞が始まると、ためた我慢を一気に解放した。鋭い伸びで内ルーラーと同じタイミングでフィニッシュ。6F81秒6〜1F12秒6の時計で秋始動戦へ態勢を整えた。鞍上は「先週少し内にモタれたので今日は外に出して動かした。外からなら大丈夫そうだった」と振り返り、師も「動きは良かった。落ち着きがあったよ」とうなずいた。

 陣営が慎重なジャッジを下すのは、前走・AJC杯の感触が手に残っているため。当時も約9カ月ぶりだったが、文句なしの馬体で重賞初制覇を決めた。「前走は本当に体がパンパンでいい状態だった。今は一度しぼんだ体が戻りつつある段階」とは蛯名。前走比での完成度が8割。それでも新しく手にした武器もある。師は「ずいぶん精神的にドッシリしたよ。今は落ち着いてレースに臨めるはず」と前を向いた。

 本来、今年の天皇賞・春などのG1戦線で期待していた素質馬。右前脚の深管骨瘤(りゅう)もすっかり癒え、ここは再度の仕切り直しとなる。「今週競馬を使うという基準では一番良い状態にきたと思っている。昔から素質を買っている馬。ここでどれくらいの競馬をしてくれるか」(蛯名)。父ゼンノロブロイは04年の天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念の秋古馬3冠を達成。秋への試金石をクリアした先に、「八」の字のような末広がりの未来が待っている。

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2017年9月21日のニュース