【純情牧場巡り】51戦“鉄の女”イクノディクタスの不屈魂は永遠に

[ 2017年8月2日 05:30 ]

黙々と青草を食べるイクノディクタス
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 かつて“鉄の女”と呼ばれた名牝は節目の30歳を迎えた。時が移ろい、そのニックネームは長寿を称えるようだ。92年小倉記念などG3を4勝したイクノディクタスは、新冠町の五丸(ごまる)農場でのんびりと余生を過ごしている。スタッフの五丸久美さんは「1年で100人ぐらいは訪ねて来られますね。懐かしがられる方が多いですよ」と衰えぬ人気にうれしそうだ。

 「30歳になったけど、体調を崩すことはほとんどありません。他の馬がかじれないニンジンもイケるぐらい元気ですし、この調子でいってほしいですね」

 夏は午前6時前に放牧に出て、午後4時ごろに厩舎に戻る。取材に訪れた際も絶え間なく草を食べていたほどで、食欲は旺盛。年齢を考慮すれば歩様もしっかりとしており、さほど老け込んでいない。

 「昨年8月の台風で厩舎が水浸しになった時は、膝まで水に漬かっていたんですが、おとなしく我慢してました。放牧地では走ることがあるんですが、こちらとしてはポキッと骨が折れるのが心配なので“走るな!”と言いたくなりますね」

 牝馬としては異例の51戦をこなした。G1には手が届かなかったが、6歳時には安田記念が14番人気、宝塚記念が8番人気で連続2着。全9勝のうち8勝が5月から9月に集中していたことから“夏女”の異名ももらった。惜しまれつつ6歳いっぱいで繁殖入り。自身が2着だった93年宝塚記念の覇者メジロマックイーンと交配し、初年度産駒キソジクイーンは“夢の配合”として注目されたが、勝利を挙げられず。その後も活躍馬を送り出せないまま、08年生まれの産駒を最後に繁殖を引退した。

 「後継を残すことができなかったのは残念ですね」

 五丸さんは悔しさをにじませる。血統表からイクノディクタスの名前が消えることは惜しい。ただ、だからこそ現役時の不屈の走りは、後世にしっかりと語り継いでいきたい。

 ◆イクノディクタス(牝30)1987年(昭62)4月16日生まれ。父ディクタス、母ダイナランディング。生産者は北海道浦河町の高田栄治氏。栗東・福島信晴厩舎に所属。2歳夏のデビューから6歳秋の引退までコンスタントに走って、重賞4勝を含む51戦9勝。5億3112万4000円を稼ぎ出し、当時の歴代賞金女王になった。92年、JRA賞の最優秀5歳以上牝馬を受賞。

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