【日本ダービー】G1“逃げ運”恵まれず…トラスト内枠引ければ

[ 2017年5月24日 05:30 ]

 【G1ドキュメント=23日】後方一辺倒の馬より、同タイプとの兼ね合いが大きい逃走型。まだ情報が出回っていない火曜に逃げ馬候補を取材するのは楽しい。東京所属の高木が「美浦のあの馬どうするの?」と栗東で逆質問されることもあり、駆け引きの最前線にいる感覚を味わえる。今年のダービーはどの馬が逃げるのか?怪しいのは快速トラストだ。

 スタートが速く、二の脚も俊敏。16年札幌2歳Sを鮮やかに逃げ切ったイメージが残っているが、実はその札幌以来逃げていない。ここまで走ったG1・3戦(朝日杯FS5着、皐月賞13着、NHKマイルC8着)は18→18→13番枠。とにかく枠に恵まれない。疋田厩務員は「内に主張する馬がいたら番手で控えざるを得ないから。とことん運が悪かった分をここで取り返したいですよ」と切実だ。

 それでも運要素は別にして、今回は好転しそうな条件が並んでいる。「近走はずっと同じタイプの馬がいたけど、今回はクリンチャーくらい?ゲートは自信があるし、内を引ければポンと行けると思う」。前走で逃げた馬はおらず、前半は淡々と流れるダービーか。開催が進んだ東京の芝。楽な手応えで直線を迎えればその洋芝実績が侮れない。

 この道20年の疋田厩務員だが、担当馬をダービーに送り出すのは初めて。「当日は雰囲気が違うと聞く。でも馬は疲れなく、カイバもよく食べていますからね。不安にさせないよう平常心で臨みたい」。取材中、ずっとおとなしく“自分の話”を聞いていたトラスト。同厩務員は「賢いし、かわいいんですよ。大目標だったダービー。頑張りたいね」と頭をなでた。今週末、日本中の競馬ファンの目が、先陣を切ったトラストに注がれるかも…。今はまだ厩務員に甘えている同馬を前に、高木は身震いする気がした。

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2017年5月24日のニュース